出版社内容情報
【全巻内容】1 灰色のノート/2 少年園/3 美しい季節1/4 美しい季節2/5 診察/6 ラ・ソレリーナ/7 父の死/8 一九一四年夏1/9 一九一四年夏2/10 一九一四年夏3/11 一九一四年夏4/12 エピローグ1/13 エピローグ2
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
74
家出して感化院に入れられたジャックは、精神的・肉体的虐待を受け、別人のように無気力に。感化院は、何よりも自由を求めるジャックにとっては、最悪の場所だ。痛々しいほどに純粋なままのジャックと、徐々に大人へと変わっていくダニエルとの対比がたまらない。一方、大人になってジャックを感化院から救い出したアントワーヌにはまだまだ未熟なところが見られ、大人の兄と少年ジャックとの対比と見ることはできないところが気になるところだ。2020/05/03
syaori
66
本巻は家出後、感化院に入れられたジャックを中心に物語が進みます。少年から青年へと変わる輝かしい時期に、感化院で孤独と無為に陥っている彼を見るのは胸が痛むばかり。ただ、彼の処遇を巡る兄アントワーヌと父チボー氏の対立や兄弟の交流を通してチボー家の面々への理解が深まるように思います。封建的で現世の成功と宗教に熱心なチボー氏、現実主義者で自身に溢れたアントワーヌ、感受性の鋭いジャック。しかし彼らは同じ「チボー家の自負心」と「いきおい」を持つのだとアントワーヌは言う。その力は若い二人をどこに導くのでしょう。次巻へ。2021/01/29
藤月はな(灯れ松明の火)
35
家出騒動で父が経営する「少年園」に入れられたジャックだが、そこは「少年院」にと呼ぶ方がふさわしい場所だった。チボー家の偽善性を如実に表す「少年園」の加えてアントワーヌの「可哀想なジャックをこの手で助けよう!」という偽善的精神が苛立ちに拍車を駆けるという読後を味わいました。個人的には妾の子であるニコラの嘆願にも慈悲を与えるフォンタナン婦人の懐の深さが逆に怖いです。しかし、世の中の冷たさや辛酸を味わいながらも強か且つ傲然と生きてきた不良少年たちの前ではジャックはまだまだ、初心な悪童気取りだったんだな・・・。2015/09/18
榊原 香織
27
2巻目 2人で家出したのに、一人は温かく家庭に迎え入れられ、もう一人は、なんと、父親が作った少年院?に送り込まれてしまう。 あんまりな違い2020/10/11
加納恭史
21
何かしっとりと読む小説のようだ。家族や兄弟のことが書いてある。一巻では当時の人々は信心深いようだ。チボー家はカトリックの権威主義である。一方、フォンタナン家はプロレスタントの信仰にある。詳しくは1866年頃アメリカ人メアリー・ベーカー・エディの始めた「クリシチアン・サイエンティスト・ソサエティ」というキリスト教の一派で、聖書と信仰で病気を直すとか。ジェンニーの病気直しのヒントになる。またフォンタナン夫人の寛容さに関係しているのかも。二巻目の少年園とはジャックが入れられた少年院のこと。まあ少年用の監獄だ。2023/02/09
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- 芸術の哲学 (新装復刊)