出版社内容情報
ユダヤ教の神秘主義的伝統であり、迷信に近い伝承から高度な創成論思索を含むカバラ思想の本質と変遷を、カバラ以前の神秘主義から近代の運動までを背景として、的確に描き紹介する。
内容説明
ファンダメンタルに世界の神秘を解明するための思索―カバラは、ユダヤ教の秘教的伝統をもとに、聖書を多様な解釈で操作する。本書は、宇宙論、数秘学、ゴーレム製造、『ゾーハル』、救世主願望…と、ユダヤ神秘思想の歴史を簡潔かつ丹念にたどる。ユダヤ人のアイデンティティを支える思考法への導きの書。
目次
序 カバラの本質
第1章 古代のユダヤ教神秘主義
第2章 「ゲオニム」からラインの敬虔主義まで
第3章 1150年から1492年までのカバラ運動
第4章 初期カバラの世界像
第5章 サフェドのカバラとその遺産
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウリツィウス
17
【生命の木の生い茂る理想郷】のちにショーレムにより再興され名誉を取り戻したユダヤ教の原点回帰思想=カバラはキリスト教における異端ではなくユダヤ教徒による楽園奪還策だ。セフィロトはその全ての実を結ぶことが本当の使命、キリストの十字架の隠喩変換はグノーシス=邪悪性を孕む外敵概念に真向から対立している。新約聖書とはあくまでギリシャ語による新規表現、実存主義を探訪した定理の数学者は合理主義との不和を指摘したまでで解読技法研究はその意義において唯一の神の姿を復元し、創世記冒頭の複数形の神とは万人遍在を意味している。2013/05/05
Z
3
超速読。歴史をまとめた本って、本質触れられないことが多い。岩波の思想の本にガバラ思想まとめた本があるらしいので、そっち読もう。2015/04/28
ヴェルナーの日記
2
ユダヤ神秘思想におけるカバラ思想を宗教という視点ではなく、学問という視点からアプローチしたところが面白かった。 ただ、この本をしっかりと理解するには前知識が必要で、ユダヤの歴史、神秘思想、カバラにおける変遷の実態をある程度、知っておかないと無理だろうと思う。 しかし、レベルにもよるが、十分な知識がある人によっては、周知の事実なので、あまり読む必要としない内容だ。 もっと学問としてのカバラ文学という立場を深く掘り下げていった内容ならば、もっと面白かったと思う。2012/12/12
Koning
2
ショーレム、ブーバーの前に是非(w
コマイヌ
0
クセジュは誰に読ませたいの?オルフェウス教といいそのものズバリど素人が「これについて何も知らんのあかんから 」って手に取るような入門書染みたタイトルにしないでよねっ。歴史地理にノーガードだとろくろく読めた代物じゃなかった、あと余りに煩雑?事実関係に寄りかかり過ぎ?長いカバラの歴史の一部でいいからその思想と行為を詳しく説明してくれるのを読むべきだった。2015/12/05