出版社内容情報
もともとは「いびつな真珠」を意味するバロック。その本質は多様な形態にある。本書の目的は、さまざまな表情のもとに現われるバロックの精神を示すことにある。デカルト、パスカル、シェイクスピア、バッハ……。バロック期のヨーロッパ各国の文化的諸相を概説しつつ、近代の探究に立ち会う異次元旅行の書。
目次
第1章 バロックの生成
第2章 バロックの現象学
第3章 バロックの模様
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウリツィウス
20
【「歪んだ真珠」否定論】芸術論に限らず文学理論に多義適応可能を前提とする。シェイクスピア/レンブラント二項対立において美術史以外にマニエリスム介在が求められるも実際的にキリスト教文学とは西洋美術史の系譜と無矛盾、この否定反証を鑑みないことで芸術史上のセクト由来分裂が発生していく過程にある。またホッケによる一連のマニエリスム展開論は美術史資料ではなく従来エッセイズム観点だが澁澤龍彦編纂著書の貢献でアウトサイダー解釈を確立した。この著書はバロック正統論を明晰に再構築していく方法論導入書を意味する。/芸術価値論2013/06/21
ユーディット
3
フランス人にとってのバロックが、いかに美術じゃないかということに驚かされる。フランス現代思想でバロックとは何かを語っている。美術家、文学者の人物辞典的な頁も多少あり、最後に音楽家が付け足される。デカルトとパスカルが主人公かな。歴史背景、思想家、有名な作品などの知識は絶対必要。美術のことは無知らしく、間違った記述もある。トレヴィの泉はベルニーニの代表作ではありません。2018/05/03
春色
0
バロック時代(この著者によると1540年から1700年まで)を形作った哲学者、文学者、音楽家、芸術家らを短く紹介した書。バロック時代の前半への記述が多め。2010/01/19