出版社内容情報
苦行を通じての解脱という驚くべき手段を方法とするヨーガは、仏教、ジナ教、そしてバラモン教にも採り入れられ、インド思想の根幹をなすにいたった。本書は、神秘主義や諸宗派との歴史的関係を解明し、ヨーガの本質を説く。巻末には現代の宗教哲学的な見解(ギーターの概要など)が付されている。
感想・レビュー
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うちこ
2
サーンキヤは25原理を説いているのですが、イーシュヴァラを26番目の原理として重ねる。こんな見かたがあったのか。 そして、「ヨーガ派は、サーンキヤ派を生かすのに自己流のやり方でバラモン教化した」と言われると、いろんな矛盾が解ける。教典の存在そのものすらも、「バランス」を教義としているかのようなヨーガ・スートラ。 わたしは「ヨーガ・スートラの謎(なんでイーシュヴァラ立てちゃったの?)」は「写楽ってほんとうに消えたの?」というのと同じ感覚で「考えると楽しくなるトピック」。この本の結論はかなりキューンとします。2015/12/19
इसिबसि तकेसि
0
インド思想史には、ヴェーダに基づくバラモン教 vs.ヨーガに基づく宗教との二つの構図があるという。ヴェーダの古層には記述がないヨーガが、ゴータマ・ブッダらが活躍する時代に文献に表れはじめ、やがてはバラモン正統派に取り入れられていく。その過程は興味深いと思いました。2015/03/19
佐藤浩
0
海外のヨーガ研究の大家が書いた代表的な著作を翻訳したもの。訳語は難解でやや讀みにくいが、ヨーガの持つ性格、インド文明における役割、その変遷については詳しく、インド文明全体の理解に役立つ良書。2013/03/09