内容説明
ヘンリー・ジェイムズが「劇作家」として舞台挨拶に立つ。成功を夢見る巨匠に浴びせられるのは…。『小説の技巧』の著者の語りが冴える、無類の面白さ。
著者等紹介
高儀進[タカギススム]
1935年生。早稲田大学大学院修士課程修了。現代英文学専攻。日本文芸家協会会員
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感想・レビュー
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春ドーナツ
11
H・Jのお兄さんの本から孫引きする。「わたしは、君に明瞭にわかってもらえるようにしたというよりも、むしろ多弁を弄してそれをぼやかしてしまったような気がする」私が表現者の忸怩たる思い、あるいは苦悩について、あふれる哀切の情を畳みかけても同じ轍を踏みそうだ。「そう遠くない未来において、あなたが施した19世紀小説のアップデートは正当に評価されることになるのですよ」と、それが荒野に向かってであったとしても呼び掛けたい気持ちでいっぱいだ。本書はそういう本である。2018/02/28
だん
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作家ヘンリー・ジェイムズを主人公としたほぼノンフィクション小説。残念なことにジェイムズの小説を1冊も読んだことがない。面白いのだけど読むのがつらかった。2011/10/14
cochou
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演劇に魅せられた大作家とそれを巡る人々。 ディビットロッジの作品は初めて読みました。演劇での成功を夢見ながら、自作と脚本との解離、コロコロ変わる座長や役者と確執、一般的な観客からの罵声でぼろぼろになる様が巧みに描かれています。淡々とした文章の中に、ロッジのヘンリージェイムズに対する敬愛が感じられます。恋人の作家や親友の挿し絵画家との交流も暖かくも複雑な心理も魅力でどんどん読み進めました。秘書、召使い、家政婦といった身近な人物も上手くストーリーに配置されています。地味ながら、完成度の高い作品です。2017/05/06
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- 和書
- 遊びをせんとや生れけむ