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初恋/メルシエとカミエ (新装復刊)

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  • サイズ B6判/ページ数 307p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560047910
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zirou1984

44
こんなベケット知らない。一人称のセンチメンタルがかつてなく直接的な初恋も良いけど、『ゴドーを待ちながら』の習作でもあるメルシエとカミエがすっごい好きだ。時に噛みあい、支え合いながらも会話はすれ違い、思いは仲たがい、互いにガタのきたふたりのどこにも進めないやり取りはとてもコミカルだし、後半で突如語りを取り戻す三人称の例えようのない肯定感は『ゴド待ち』では見られなかった一面だ。強さも弱さも、美しさも醜さも不条理の前ではいつだって平等だ。解説にもある通り、気軽に楽しめる風通しの良さが何よりいとおしい。惜しい?2014/06/11

ami

3
人称がいい。2017/06/16

borug

3
初ベケット。あとがきの「(ベケットの中では)気楽に楽しめる」というのが他の作品を読んでいないので分からないけど、読んでいるうちに気楽に読んでいけるようにはなった。2014/09/13

roughfractus02

2
全知の語り手ではない「わたし」は作者にとって人間的とはならない。語り手はより生きた状態かより死んだ状態かを表し(「初恋」)、他の2人の「擬似カップル」の視線に気づかれている偽の全知の語り手として読者にその曖昧な身分を示す(「メルシエとカミエ」)。物語は同じ一つの世界で展開せず、語り手と他の人物は別の世界にいるゆえに展開も達成も結末もない。非線形で複雑な時空で因果関係の線形的権力が行使不能なのは、「わたし」も彼女もメルシエもカミエも他の世界への窓がなく、読者もまた作者の提示するモナド世界の住人だからである。2017/07/24

gu

2
意思の疎通も極単純な動作もスムーズにはいかず、常に何かしらの障害にぶつかる。劇的でもなんでもなく。文章も手探りで行きつ戻りつしながら進む。それが面白いのだけど、読むのに苦労する理由にもなる。「これで水いらずだ、とカミエが言った。メルシエは自分のコップを差し上げた。そういう意味じゃなかったんだ、とカミエは言った。メルシエはコップを置いた」なんて間の抜けたやり取りがいい。以前読んだ『ゴドーを待ちながら』と比べるとまだこの世の話という感じがする。2011/11/25

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