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スパイたちの夏

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560047637
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

親友のたった一言が、運命の歯車を狂わせた…。第二次大戦下のロンドン郊外。「スパイごっこ」をする二人の少年の前に見え隠れする「ドイツのスパイ」、大人たちの秘密、最後に明かされる意外な真相とは?ウィットブレッド小説賞受賞。

著者等紹介

フレイン,マイケル[フレイン,マイケル][Frayn,Michael]
1933年、ロンドン郊外生まれ。10の小説と、13の戯曲を発表している。デビュー作“The Tin Men”でサマセット・モーム賞を受賞し、『墜落のある風景』でブッカー賞の最終候補になる。また、戯曲『コペンハーゲン』でトニー賞を受賞したほか、チェーホフの『桜の園』『三人姉妹』『ワーニャ伯父さん』の英訳でも知られる。『スパイたちの夏』で、ウィットブレッド小説賞受賞

高儀進[タカギススム]
1935年生。早稲田大学大学院修士課程修了。現代英文学専攻。日本文芸家協会会員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

285
スティーヴンが、50年前の少年だった自分を語る構成。したがって、我々もまた2つの時間を追体験することになる。第2次世界大戦の最中にあった少年時と、それを回想する老年の今だ。時間の経過は、それが必ずしも幸福なものではなかった過去をもロマネスクなフィルターに包み込む。「ぼくの母はドイツのスパイだ」という、かつての親友キースの言葉にに始まる冒険。しかし、それはワクワクするものではなく、むしろ苦渋に満ちている。そして、それは現在時にまで繋がる「喪失」の物語である。「わたし」が失ったものはあまりにも多い。2016/12/07

ケイ

125
郷愁という名のもとに靄がかかっているようなのに、深く潜む鋭さ、敵意、残酷さ。それは、少年たちならではの幻想が生み出すものと思えば普遍的だが、確実に時代が生み出す影響下にあった彼ら。胸が苦しくなりながらも、その世界にたゆたっていたいような魔力で惹きつけられる。何かが出てくるのが待ち遠しく、それでもずっと物語の中に留まっていたくて先に急げない読書。イギリス文学の懐の深さを見たおもい。夏にまた読み返したい。2016/10/26

まふ

108
少年たちの戦争ごっこ、スパイごっこが続き、というより大半がこれにまつわる話に費やされ、「なんだ、これで終わるんか、つまらん」と思っていたら、最後にとんでもない事実が淡々と語られ、ここまで世界が一気に広がるとは予想もできなかった。だから、といって世界が新たに動き始めるわけでもなく、それだけのものではあるのだが「こんな手もあったか」と、小説の世界の可能性について改めて妙に感心させられた。あと引く小説である。ナルホド、ウィットブレッド小説賞を取っただけのことはある。マイケル君やるね!G1000。2023/09/24

扉のこちら側

81
2017年181冊め。【297/G1000】もう戻れない夏を回想するという話にとにかく弱い。この設定だけで大概評価が甘くなりがちなのだが、これは良い作品だった。ライムとスイカズラではない、あの香りが呼び覚ます記憶。50年という歳月が経った時、自らの記憶もどこまで自分を味方してくれるものとなるのだろう。戦時下の少年たちのスパイごっこが明らかにしたもの。50年後は難しいだろうから、5年以内にはまた再読したい。2017/02/21

藤月はな(灯れ松明の火)

77
老人は懐かしき場所の匂いによって回想する。嘗て、自分達が夢中になってした事、知らなかった事を。それは、親友だと信じていたキースが言った「ぼくの母はドイツのスパイだ」という言葉がその引き金だった。まあ、身近な女性でもこれ位の歳の子が惑っちゃうのは仕方ないかも。しかし、キースは周囲の子供が嫌っていたように恐ろしい子供だったのか。ステファンに対する態度から見て、年相応にも残虐にも思える。そんな彼がなった職業が空恐ろしい。そして彼らが面白半分で行っていた事が引き起こした結末、更に知る真相に愕然としてしまう。2019/01/05

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