出版社内容情報
13歳の天才少年グールドがシャツィ・シェルという名の風変わりな女性に出会い、恋とは言えぬ淡い交流が始まる。2人のお話のほかにボクサーが主人公のラジオドラマと西部劇が同時進行し、やがて悲しい結末を迎える。イタリアのベストセラーとなった、都会をめぐるセンチメンタル・ジャーニー。【作者コメント】わたしは、どこかの町で道に迷ってしまった人が歩いているときの感覚を体験できるような本が書きたかった。家に戻って、何を見たのかと聞かれると、答える。シティを見たよ、と。そこで書いてみた、そんな本を。そして、『シティ』というタイトルをつけた。そうするのが正しいと思ったからだ。(アレッサンドロ・バリッコ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソングライン
18
13歳で一人暮らしをし、大学で研究を続ける天才少年グールド、出版社のアンケート係をする女性シャツィが彼の家政婦となり彼らの共同生活が始まります。平凡な日常が描かれる中、突然語られ始めるグールドのボクシング中継とシャツィのウエスタン物語(西部劇)、そして時に登場するグールドの友人二人は実は彼の創造。グールドの指導教授の論文のなかの誠実さとは沈黙であるとは反対の世界、戸惑いながらも泳ぎ切りました。バリッコ謎です。2022/07/13
メイロング
2
それぞれのエピソードに、脇道のように別個のエピソードが延びている。その脇道が異様に長く深い。町並みというより、上下左右、三次元に広がっていく感じがして、新鮮で気持ちいい。作者のルールにどこで気づくか。小説はこれくらい自由であっていいと思うんだけどなあ。シャツィがかっこいいなあ。2011/06/30
crf2
1
愛すべきキャラクター達 読了したくない2017/02/28
古青
0
不思議な小説でした。普通からは少し外れてしまっている主人公2人。常人ならば何て事ない要望がこの2人には手の届かない望みとなっています。その望みを叶えようとする話を主軸に、2人の妄想する世界の物語が交錯し、混乱しながらもストーリーが進みます。誰しも心の中に自分だけの物語を作っていて、思うようにならない現実を生きるための支えにしているのかな、と思いました。 読後は、稲垣足穂の一千一秒物語に似ている、と思いました。2015/08/23
mejiro
0
インディペンデント系というか映画を意識したような構成と内容だと思った。個性的な登場人物が風変わりな行動をとったり、登場人物の妄想が作中作で描かれるのでそういうのが好きな人は楽しめる作品だと思う。 2013/11/21