出版社内容情報
アメリカ南部の港湾都市を舞台に描かれる夫と妻、親と子の息づまるような葛藤。愛の言葉を失った人間たちの苦悩を圧倒的な筆力で描く大作はまさに現代の古典と呼ぶにふさわしい。
内容説明
愛の言葉を失った人間たちの息づまるような葛藤を圧倒的な筆力で描き切った現代の古典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fig
9
ある家族の崩壊の物語でもなければ、愛と喪失の物語とも見えない。現代(その当時の)に巣くった病的な緊張感、破滅願望や喪失感を表す意図があるのかもしれないが、そこに考えを巡らせる前に、奇行はありながらも何十年もの間生きて自分自身の内側を自ら蝕んでいく母と、それこそ一気に駆け上り飛び降りるように終末へと向かう娘の姿が恐ろしい。生も死も、喜びでも救いでもない。ただの事象。彼女らの自己憐憫と責任の放棄に転嫁は、読んでいて凄まじい圧迫感を持つ。2009/10/26
ces
1
家族崩壊の物語として、またスタイロンが「見える暗闇」の中で自分の中にうつ病の種はずっとあり、登場人物が自殺する物語を何作か書いていたと言っていたので確認するために読んだ。 スタイロン的には母の異常な部分が娘にも受け継がれてると考えてるのかなと思った。 情景の描写は美しい。訳者が素晴らしいのか、自分も喧嘩したときに使いたい台詞がたくさんあった。 メインの家族が絶望してる中、黒人の召使達は神をまだ信じているからそういう人たちにはまだ救いがあるのかも。 神父はこの仕事向いてないと思うくらいめちゃくちゃむかつく。2023/10/14