出版社内容情報
当代一流の詩人の手になるヴィヨン全詩の翻訳が読めるのが嬉しい.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』356頁、より)
内容説明
まったく新しい校訂本をもとに、十五世紀の放浪詩人ヴィヨンの迷宮的世界を解読した斬新な口語訳。詳細な注解・解説を付す。
目次
ヴィヨンの形見分け
ヴィヨンの遺言書
ヴィヨン雑詩篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
april-cat
10
久しぶりにヴィヨンを読みたくなったのですが、自宅のは古い岩波文庫しかなくて、いかにも訳が古すぎました。この本は近隣の図書館になく、迷ったあげく天沢さんだし、きっと大丈夫だろうと信じて密林でぽちっと。今朝頼んだのに、夕方6時には届いた!密林凄い。いや、密林はどうでも良いのですが、この本は素晴らしい。ヴィヨンの素晴らしさが生き生きと現代に蘇る偉業です。さすが白水社創立85周年記念出版だけあって、志が高い。嬉しい本です。高い本ですが、公立図書館はぜひ買っておいて欲しいと思います。2013/02/11
SIGERU
7
「わたしはフランソワ ――このことがとにかく辛いんだ―― 生まれはパリ、ポントワーズの近く。さて、長さ1トワーズの綱につるされて 首のやつ、臀の重さを悟るだろう」。殺人罪により縛り首の死刑宣告を受けてなお、ブラックな諧謔を弄する、この放胆さは何なのだろう。フランソワ・ヴィヨン。中世を、いや、全フランス詩を代表する、放浪の悪党詩人。泥棒にして殺人者。私もまた、伝説という色眼鏡を通じて彼をみていた。今般、天沢退二郎氏の名訳を得てヴィヨンの全貌に触れ、あらためて、この詩人の怖るべき才能に驚嘆している。2017/03/18
桜井夕也
1
「詩を作れ、ギャグをとばせ、シンバルを叩き、フルートを吹け、人を欺く厚かましい道化みたいに。こっけい芝居をやり、混ぜっかえし、舌先で人を操れ。街々で、城内で、やってのけろ。笑劇や、人情芝居や、教訓劇を。さいころ博打やトランプや柱戯で稼ぎまくれそれからそれから……まあ聴けよ!すべて、居酒屋と淫売宿で消えちまう。」2014/02/19