出版社内容情報
バリ島演劇に触発されたアルトーが、ヴァーチュアル・リアリティ論の先駆けともいえる「錬金術的演劇」を語り、五感(器官)を揺るがす「残酷演劇」を宣言する。長らく入手不可能だった名著『演劇とその形而上学』を、生誕百年、著作集刊行に合わせて全面新訳・改題。アルトーの神髄ここに極まる。
目次
演劇とペスト
演出と形而上学
錬金術的演劇
バリ島の演劇について
東洋演劇と西洋演劇
名作との縁を切ること
演劇と残酷
残酷の演劇(第一宣言)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mstr_kk
7
再読。演劇は習慣を再現する約束事の舞台であってはならず、新しいものが生まれる場所であらねばならない。そのためには、戯曲に支配されていたあらゆる要素を解放しなければならない。このように要約することは比較的容易ですが、「それはあらゆる演劇にとって当然必要なことではないか」という思いが起こり(デリダはアルトーの残酷演劇を「不可能」といいますが、不可能だからこそ当然いつも目指すべきものとして残酷演劇はあるわけです)、また、「当然のことを言っているにしてはアルトーの文章は強烈すぎる」という残余の感覚をおぼえます。2014/12/09
parakeet_woman
2
気になるところだけ読んだので読了と言っていいのか。アルトーが口から唾飛ばしながら糾弾し始める時のドライブ感はたまらない。演じる身体について考えたくて手に取ったがそういう内容ではなくどちらかというと演劇を作ることについての論考だった。彼の言う「深い無軌道な精神」だとか形而上的なものは想像以上に我々の「健全な」都市生活の中から消滅している。私は彼の演劇(残酷演劇と表現される。そのままの意味ではないようだ)は見たことがないが、秘匿されたはずのそれはきっとどこまでも異質な状態で我々の前に現出するに違いない。2019/06/01
あだこ
2
残酷を身体に刻みつける。それこそが生を体現すること。2009/09/02
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1
10数年ぶりに再読。言語・記号論として読める。ドゥルーズ&ガタリ、特にガタリの記号論の根底部分はやはりアルトーから来ているというのが良くわかる。2020/07/09
k
1
演劇について考えたときに、時々感じる「舞台上に興す意義」みたいなものを刺激された。面白い、っていうか、エキサイティング。借りて読んだ本なので新版の方でもはやいとこ手に入れなければ。アルトー生誕120年おめでとうございました。2016/09/04
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