内容説明
現代のロマン主義者ミルハウザーが紡ぎだすミステリアスなガジェットの宇宙。傑作中篇「アウグスト・エッシェンブルク」を含む巧緻極まりない作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つまみ食い
6
退屈や自己への絶望などから生まれる幻想幻視が全編に通底している。解説でも「いま・ここ」から逃れる欲望に貫かれたアメリカのロマン主義に棹さしているとされているが、その代表選手のポーに影響を受けたボードレールのような雰囲気も感じる。「アウグスト・エッシェンブルク」は特に素晴らしいキュンストレルロマン。「雪人間」も好き。2024/06/26
ソニックゆうすけ
1
特に、最初の中篇アウグスト・エッシェンブルクが良かった。洗練されているけど、どことなく変わった雰囲気の小説が続きます。少し日常から離れたい時なんか、格好の作品では?2020/04/03
まろ
1
ありきたりな情景がしつこいほど丁寧に描かれていて、色や香り、温度まで伝わってくるような文章だった。それほど情景が細やかに定められているからこそ、感情の盛り上がりが訪れた時に、それがどんなに平凡なイベントであっても読者も共に興奮できる。誰もが経験しそうな喪失と焦燥の物語が、ミルハウザーの文章によって非凡なものになっていました。2012/09/28
たー
1
とてもミルハウザーらしい1冊。幻想的な中にも苦悩と葛藤あり。2010/04/11
Bevel
0
第一部は本当にすばらしい。ヨーロッパの奥深くが好きな人たちの希望。 第二部と第三部は語り手の雰囲気で分けられているような気がした。2022/08/03