出版社内容情報
奨学金も切れようというのに論文が一向に捗らない3人の子持ちのカトリックの大学院生アダムはまたも妻が妊娠したのではないかと心を痛めながら、おんぼろスクーターでいつものように大英博物館の閲覧室に向かうが、珍無類の事件に次々と巻き込まれてしまう。ロッジ会心の出世作。
内容説明
子持ちの大学院生アダムは、今日もおんぼろスクーターに乗って大英博物館の閲覧室に出かけたが、次々と珍無類の事件に捲き込まれていく。性の悩みの悲喜劇を描く、ロッジ会心の出世作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りつこ
16
久しぶりに読んだロッジはやっぱり面白かった。いやもう見事なほど徹頭徹尾ドタバタ。そうかドタバタはイギリスのお家芸なのだな。でもただのドタバタじゃない。グレアムグリーンからジョイスまで文体を真似したり、そこここにアカデミックな小ネタを挟みつつのドタバタなのだ。パンツを全部洗濯されて履くパンツがなくて妻のパンツを履いて出勤するくだりがたまらん!しかもそれがあとから効いてくる!新しくないものをじっくり楽しみたいの気持ちにピッタリな小説だった。2012/10/30
Mark.jr
2
大学院生という(一応)インテリの主人公に、カトリックを信仰することの悩みや、性を軸にした人間悲喜劇など、著者の作品の要素がコンパクトにまとまり、軽妙な笑いを含みながらも、人生の苦味を感じされる、ライトヴァースのお手本みたいな作品です。2021/02/15
三月うさぎ(兄)
1
デイヴィッド・ロッジ追悼、第一弾。1965年の原著で、いまなら叩かれそうな差別的表現はあるけれど、意識的な使い方。それよりも、電話が重要なツールとして使われているんだけど、「建物に一台だけで共用」とか「電話交換手」などは今でも通じるのか。電話交換での混線コントは重要なシーン(イヨネスコあたりではないか)なのだが、スマホネイティブ世代にはなんのことかわからないかもしれない。ともあれ、訳者あとがきにもある通り、知っていなければいけないのは、「当時のカトリック教徒は避妊してはいけない」ということだけ。→2025/01/16
泉を乱す
1
エピローグ泣けるな。2018/01/18
tai65
0
星3・52013/07/14