出版社内容情報
幻の記録の封印がいま解かれる!! 耳目を集める水俣の認定申請運動の陰で、若衆宿に集う若者たちが、世間の泥沼に船出する、可笑しくも哀しい航跡……。補償金体制を撃ち、患者神格化に切り込んで、長い間「厄災の書」とされた、幻の記録の封印がいま解かれる。
内容説明
水俣病の若い患者たちはひどく貧しく、一人ぼっちで、村人からは化物の子とさえ呼ばれてきた。彼らの望みは普通の人間のように働き、結婚することなのだが…。地獄のような苦しみと哀しみ、抱腹絶倒、悪戦苦闘の物語が若衆宿を舞台に展開すする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
5
終活在庫処分キャンペーン対象本 ちょこっと読み返してみたら、福島のいまと近しいものを感じてしまったですよ。2017/07/04
ホワン
4
差別され倒されてる人たちばっか出てくるわけだが、生き生きもしてるのよな。2020/03/04
卍ザワ
2
補償金の受け取り前と後の、若衆宿の患者達のかなりな変化を、現在進行形で活写。補償金を受け取ってからの若衆宿の患者達の、身勝手な動向が、赤裸々に、そのまんまのありのままに描写しており、他の患者団体の苦々しい気持ちが、解らんでもない。補償金を貰ってからの患者達の、人としての、滲み出すような、無邪気な醜悪さが、しこりというか、おりみたいに残り、この苦々しいモヤモヤとした読後感は、石牟礼道子の「苦海浄土」と、ぜんぜん違った。2025/01/03
turutaka
1
最低で最高に「人間的」である。 水俣という土地において、その中で発生するどうしようもない人間関係の歪み。病気になって差別され、補償を受けられるようになっても陰口を叩かれる。 小さな田舎町ならではの濃密で息苦しい人間関係からは簡単に逃れられない。病も呪いなら、この閉鎖環境も呪いだ。 画一的、二元的でないリアルな公害下での人間模様だ。2024/07/05
gunji_k
1
「だけどそういう下積みの、心優しい人たちにもお前は心を開けない。水俣病を隠すんだ。」「あんなに水俣病捨てたかったお前が実は水俣病的なものがないところでは息がつけない、どうしようもなく閉塞してしまうって発見は大事だったな」2011/04/25
-
- 和書
- 村上海賊の娘 〈下巻〉
-
- 和書
- 税務会計要論 (3訂版)