出版社内容情報
経験してみたいと仕掛けた恋愛に真の恋心を覚えるが、征服してしまうと女は重荷――。青年のエゴイスティックな恋愛心理を冷徹に分析した『アドルフ』、自堕落な若い日の行状を語る『赤い手帖』、スタール夫人と妻がモデルの愛の残酷物語『セシル』。フランス心理小説の最高峰コンスタンの三部作。
内容説明
恋愛における男のエゴイズムを冷徹に分析した「アドルフ」、自堕落な若き日の回想「赤い手帖」、スタール夫人と妻をモデルに愛の苦悩を描く「セシル」。フランス心理小説史上に不朽の名をとどめるコンスタン3部作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
60
【フランス文学を読もう】アドルフのみの感想です。若い頃は退屈で読み切れなかった。今回は、アドルフの階級意識、結婚感、恋愛感などが理解できます。肯定しているわけではないですが、結婚は同じ身分の年下の令嬢が前提。伯爵の美しい愛妾との恋は一時の遊戯のはず。しかし、恋の相手のエレノールは、愛妾である自らの立場を捨て恋に生きる決意を示すのです。この食い違いが惰性ともいえる関係となるわけです。アドルフの自己分析、執拗な愛の倦怠、自由を失った心情の吐露、私はここまで心理を書けるという凄みを感じました。面白くはないです。2021/09/06
きりぱい
3
「セシル」を読みたくて。お互い他の誰かとはどうにかなるのに、愛し合う本人同士だけが一向に一緒になれない苦悩。なぜそこまでマルべ夫人を断ちきれないのか、らちのあかない心境の吐露にあだし心を空しく思いながら、これはコンスタン自身の身のうえでもあるらしく、よくもこれだけ自分の弱い心を告白するかのような作品を書けたものだなあと。ついでに読んだ「赤い手帖」も、若い時の放蕩が綴られ、意志の弱さに図太さが同居したでたらめ振りに、これもコンスタン自身であったのかと妙な感心。2011/10/10
Mana
1
前にコレットのシェリをアドルフになぞらえて褒めている文章を読んだので図書館で借りてみた。たしかにアドルフはシェリと設定が似ている。こちらは年下の男性から見た話。悲恋傾向の恋愛小説。 心情がリアルに切々と伝わってくる。この本の三篇はどれも作者の自伝的傾向の強い作品で登場人物にも実在のモデルがいるらしい。2012/05/25
-
- 和書
- Who are you?