出版社内容情報
高名な指揮者による音楽的自叙伝。あふれるばかりに音楽で満たされた人生を主題に、モーツァルト、ブラームス等の作品の奏法などをその変奏として、興味つきない音楽談義が綴られている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジョンノレン
57
音楽家の自伝は意外に少ない。自伝と称していても実はゴーストだったり、インタビューベースだったり。代わりに研究者や評論家の著書もあるが、その妙な自信がなんだかなあ。少し前に読んだロジエストベンスキーの本でワルターと会った時の話が印象に残り、この本に行き着いた。この本は紛う方なき正真正銘の自伝。少年時代からの内省や音楽や人との関わりや人生の機微が実に豊かで率直に吐露されている。音楽の才能もさることながら、少年時代から夢中になっていた読書のお陰もあってか、類稀な文才も、二物与えられた人だった。名著。2024/11/14