内容説明
「笑い」を書くための実践的な教科書。劇作家・脚本家・放送作家になりたい人はもちろん、“ウケる技術”を身につけたい人のための短期集中講座。
目次
喜劇文体の作家と悲劇文体の作家
演劇とコント種
写生教育と模写教育
心がけたい日常のトレーニング
「笑い」の分類
笑いをつくり出す精神を養う
創作行為のいかがわしさを再認識したい
うそつきの精神を養う
一コマ漫画の分類と、その有効な使い方
創作のための具体的な手順〔ほか〕
著者等紹介
別役実[ベツヤクミノル]
1937‐。劇作家。旧満州生まれ。早稲田大学政経学部中退。我が国における不条理演劇の第一人者。裸の舞台に手ざわりのある電信柱を置き、乾いたセリフにリアルな身体を対比させることで、日常的風景が不条理な空間へとゆがんでいく独特のドラマツルギーを確立、日本の現代演劇を形づくった。『マッチ売りの少女』『赤い鳥の居る風景』で、第13回岸田国士戯曲賞を受賞。『ジョバンニの父への旅』『諸国を遍歴する二人の騎士の物語』で、芸術選奨文部大臣賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
21
何度か笑った、だってこれちょっと異常だもん、異常。実際におこなわれたコントの作り方講座を下敷きにしている本。不条理の劇作家・別役実が生徒の作品を添削していく。コントの課題テーマは「死体(または爆弾)がある風景」、別役さんのもとに集った生徒の作品はどれも不条理極まりなく(これがレベル高い!)、そこにああだこうだと突っ込む先生の指導も的確なんだか悪ふざけなんだかどうも怪しくって、これ一冊が不条理そのものを体現しているような印象。一読で別役ファンになってしまいました。2014/11/03
くろ
8
サブタイトル通り「不条理な笑い」に着目した内容。非日常が日常になるための作品を作るヒントがあった。一コマ漫画の下りなんかは、今からでも実践できるレベルだし、イメージの引き出しを増やしたり、自分の笑いという感覚を自覚するには良いかもしれない。でも、やっぱり数を書くことが一番大事なのかな。2013/02/14
うえぴー
7
なんとなく惹かれて図書館で借りてみた。別役さんの本はひさしぶり。劇作家ということを知らない高校時代に、『淋しいおさかな』を読んでファンになり、『虫づくし』『けものづくし』『道具づくし』等の「づくしもの」でニヤリと笑ったものです。本書は、作劇セミナーでの「コントの書き方講座」を書き起こしたもの。お題をもとに生徒が書いてきたコントを批評するというもので、実践的なコントの書き方が学べるだけでなく、「笑い」の客観的な見方、「笑い」の段階など、普段考えもしない視点が面白い。2015/03/20
こばやしこばやし
6
別役実による劇作セミナーの様子を単行本化した一冊。参加者の方々の作品を添削しながら、劇の最小単位であるコントについて考えていく。ストーリー思考とプロット思考というのは、興味深い視座だった。観客が目の前にいる演劇だからこそ、小説よりも二つの思考を並列させることで面白さが立ち上がるのだろう。「構造的に」とか「事態が停止」とか、感覚として分かるが、まだ飲み込みきれてないニュアンスのある表現が沢山あった。別役実が演劇の第一線で練り上げてきた表現であり、トレーニング技法などもあり、興味が尽きなかった。2024/11/01
Mark.jr
4
コントの書き方なので、いわゆる小説の指南本とはノウハウが違うのが面白かったです(例えば、せりふでものを書くので、小説の地の文だと時が止まっていると感じなければならないとか...)。2022/08/11