感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
17
○東京裁判におけるパール判決書を主体にパール判事の一生特に日本との関係を記載しています。パール判決書は昔あらあらですがすべて目を通したことがありますが、本書で言われている通り国際法上の刑事責任において無罪を主張したものであり、日本の道義的責任までを無罪としたものではないと考えます。また戦後の米国追随に邁進する日本に失望と怒りを持っていたことが印象に残りました。2021/05/10
けいた@読書中はお静かに
10
靖国参拝のニュースで名前が出たのでどんな人なんだろ?と思い図書館で調べました。右論者がパール判決書を取り出して『日本無罪』『侵略戦争は無かった』を声高に叫ぶけど、パール判決書の著しい曲解であると思う。あくまで、平和に対する罪、人道に対する罪は事後法であり、罪に問える法律がないから無罪。自衛か侵略かは当該国の判断によるところであり、定義が曖昧。よって国際法において侵略戦争とは断定出来ない、という内容。戦争肯定論ではない。あくまで法の元の公平さが著しく損なわれた東京裁判の批判論文。2014/01/24
ふらん
9
資料読み。極東国際軍事裁判で、連合国側の裁判官がA級戦犯に有罪を下す中、ひとり無罪を主張した人間。でも親日や同情でなく、あくまでも国際法の観点から法のもとの平等を叫んだ人。…それにしても日本軍の捕虜やった裁判官(フィリピン)や、日本軍の虐待行為を調査してたのが裁判官(豪)って…被告に、恨みを持つ裁判官がいる法廷でまともな裁判なんかできるわけないやん。2015/06/21
しゅんのすけ
2
東京裁判の定本となっている『パール判事の日本無罪論(田中正明)』のアンチテーゼとして位置づけられる作品。パールが被告人全員を無罪と宣したのは、「日本が無罪」ということではなく、極東軍事裁判が罪刑法定主義を無視した戦勝国の一方的断罪であるゆえに「法的に被告は無罪」としたと論証していく。パールはガンディー主義者であり、欧米を模倣した大東亜戦争(太平洋戦争)を肯定するものでは無いということも強調する。2015/03/14
惰性人
2
東京裁判で被告全員無罪を主張したパール判事その人、そしてパール判決書の解説。パール判事は法技術的に被告を無罪としただけであり、日本の道義的な罪を糾弾していたと著者は主張し、巷にある日本に罪はないとする論調を強く批判しています。2011/09/26