出版社内容情報
難解として敬遠されがちであったベケット文学の諸問題を、ベケット研究の第一人者として名高い筆者が分かりやすい語り口で解説しながら、ベケットの足跡を最晩年まで辿るという今までにない簡潔、緻密なベケット伝。122枚の貴重な写真と、ベケットの言葉が効果的に配置されているのも魅力だ。
内容説明
ベケットの人となりにせよ、その作品にせよ、「知的に解読しようとすればするほど知的に混乱させられる」。貴重な写真と明解な文章でたどる、今世紀最大の劇作家の生涯。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
45
ベケットの生涯と主な作品の全貌がコンパクトにまとめられていて、ベケット入門にちょうどいい。ベケットは小説・詩・戯曲・評論とマルチに活躍したが、特に演劇家ベケットに力点が置かれていて、豊富な舞台写真とともに上演された劇の様子に詳しく、理解を助ける。代表作ゴドーについても、上演された(再現できない)演劇についてのコメントにより、理解が深まるのだ。戯曲を読むだけでは判らないベケット演劇が語られていて、DVDなどで残っていない以上、観ることができないのがひどく残念。小説ではなしえない文学/芸術の世界が垣間見れる。2014/11/13
zirou1984
40
ベケット入門書としては最良の一冊。ベケットの生涯を追いかけながら彼が作り出した作品の数々を簡明に紹介してあり、その意図が少ないページ数ながらよくわかる様になっている。特に注目なのが100点以上もの写真で、彼の戯曲のインパクトやそのユーモアが明瞭に表れている。小説の草稿に残っている様々な落書きがまたキュート。表紙もそうなんだけど、晩年のベケットの写真はむちゃくちゃかっこいい。生きることそのものが積み重なった佇まいだ。「…わたしは今までいちどもどこかへ向かって進んだことはありません。ただ進むだけです。」2014/06/17
速水こもみち
19
まだ『モロイ』しか読んでおらずベケットのことはよく知らなかったが、その世界観について雰囲気は掴めたような気がする。今後は他の作品も読みながら、その都度この”入門書”を読み返してみたい。2016/11/02
ありんこ
3
「ゴドーを待ちながら」を読み、ベケットがその後の文学・演劇・芸術作品に大きな影響を与えたことを知りました。この本では、貴重な写真とともにベケットの生き方や演劇に対する考え方を紹介してくれています。どんなことにも正解を求めてしまいがちな私たちに向けて、答えを明確にせず、考える機会を与えてくれる人なのだと感じました。2023/11/26
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