内容説明
日本であまり知られていない作家たちの変死ぶりから、20世紀アメリカの時代精神と彼らの反逆や渇望を描く。
目次
デルモア・シュワルツの悲劇
ハリー・クロスビーと失われた世代
早く来すぎた男ナセニェル・ウエスト
「偉大なアメリカ小説」を夢見たロス・ロックリッジ
ゴールデン・ゲイト・ブリッジに消えたウェルドン・キース
著者等紹介
坪内祐三[ツボウチユウゾウ]
1958年東京生まれ。早稲田大学卒。雑誌「東京人」の編集者を経て執筆活動に入る。2001年『慶応三年生まれ七人の施毛曲り』で講談社エッセイ賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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donut
6
めちゃくちゃ面白かった。デルモア・シュワルツとナセニェル・ウエスト以外は初耳の作家だったが、ぐいぐい読ませられた。坪内祐三の「肖像集」への偏愛が伝わってくる。本書と『靖国』についての「そのいずれの作品も自分に読ませるために、つまりたった一人の読者のために書き残しておきたかったのだ。誰かがその私の夢想していたまったく同じ作品を書いてくれれば読者である私は満足するのに、そういう可能性がまったくないから自分で書こうと思いはじめていたのだ」という記述とか、かっこよくて痺れる。2021/02/19
AR読書記録
3
なんていうかすごいタイトルだなとは思いますが。そして「アメリカ」に納得しつつもどの国でもわりといけそうと思ってしまいますが。そしてそうだとすると、作家というのも随分因業な生業ではある...(でも出版社とハリウッドと大衆に翻弄されたロックリッジはとてもアメリカ的) 最後の一篇は、長めのあとがきみたいなつもりで読んだ。そうしてみると、アメリカ作家について書いてある本というより、アメリカ作家を通して著者の精神的彷徨を感じる本のように思えてもくる。ウェストしか読んだことないけど、他のひとも覚えとこ。2016/02/09
祐徳太子
1
ジム・トンプスンやワイリー・サイファーの名前が思わぬところで出てきて楽しい。2023/12/23
1
ずっと前から、デルモア・シュワルツの部分を読みたくて。ルーリードの師匠で有名だが、「夢の中で責任が始まる」という一作で舞台から消えて行った「一発屋」であったことが語られている。「夢の中」以降の作品は鳴かず飛ばずで、講師をしながら糊口をしのごうとするが、そこで待っていたのはアメリカ社会に於けるユダヤ人差別であった。最後は、フィッシュジェラルドのように酒におぼれて、人知れずに惨めに死んでゆく。作品も読んでみたい。2019/01/25
さえきかずひこ
0
デルモア・シュワルツ、ハリー・クロスビー、ナセニエル・ウェスト、ロス・ロックリッジ、ウェルドン・キースといった主に1920-30年代に活動した不世出の米国作家(小説や詩)たちについての紹介本。後半に進むにつれ、センテンスの刻むリズムがやや冗長となるのが残念。2008/11/23