わたしの知らない母

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  • サイズ B6判/ページ数 250p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560027493
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

認知症をわずらい、心の中にしまいこんでいた戦争の記憶があふれだすハンナ。その記憶にふれまいとする娘、祖母の過去を知りたいと切望する孫娘。三世代の女性が織りなす、家族という「他者」の心の秘密に迫る感動作。

著者等紹介

チェスマン,ハリエット・スコット[チェスマン,ハリエットスコット][Chessman,Harriet Scott]
イェール大学で文学や女性学を講じた経験をもつ。家族とともにサンフランシスコ在住

原田勝[ハラダマサル]
1957年生まれ。東京外国語大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

38
なんと柔らかい文体!上下に空間を持たせた構成、章も全体もボリュームを押さえ 読み易い。が、人々の心情が行間に溢れている。語られるハンナ・・かなり重い認知状態にあることが判る。語り手は主に孫娘アイダとフィオーナ。時に別の視点も入る。断片的にちりばめられたエピソードが次第に形を作り、ハンナの生活史が見えてくる。ユダヤ人一族、軍人の妻、夫亡き後教師に就き、渡米。戦争へのメッセージ・・決して声高なそれではない。長女ミランダも直截に姿を現すのではないが突き放しているのが解る・・ひ孫シエイマスとの関わりが未来へ繋がる2017/10/21

ルナティック

3
これは哀しい。ハンナが、生涯語らなかった過去の根底にある感情が、やっと分かった時、言葉にできない感情に心が痛くなってしまった。邦題タイトルが、娘主人公風になっているが、認知症のハンナが主人公。娘、2人の孫娘の部分は、ハンナの物語を絡めて考えると、ズッと鮮やかになってくる。全編に「詩」があり、その言葉が気持ちになり、見えない「心」が薄ら見えるように思えた。ハンナが迷子になり、店の若い店員を亡くなった妹エマと思い、必死に縋る部分は、泣ける・・・2016/12/19

maple

2
ハンナが心の奥に封じ込めていた過去が、三世代の女たちの語りから少しずつ明らかにされていく。ホロコーストを逃れて、ひとりフランスからイギリスに渡ったころの孤独で不安な日々、家族を失った深い喪失感、その後出会った男性とのつかの間の幸せ。さまざまな記憶が生々しく迫ってくるかと思うと、ふいにぼんやりと消えていく。大切にしている手紙の束が床に散らばるシーンが、認知症を患うハンナの心のなかを示しているようで印象的。2019/02/10

かおり

2
地雷とラッセルについて気を付けながら読み返してみた。五回記され、ハンナの詩にも書れている。作品中にちりばめられた悲しい記憶。認知症と戦争とがハンナを不安定にさせる。一冊の中にいくつもの事柄、人々の感情が詰まっている。いつの日かこの作品の事を改めて思い出す時が来るかもしれない。2014/03/23

かおり

1
認知症、戦争、家族、いろいろな問題が複雑に絡みあう。登場人物の誰に感情移入するかにより見方が変わる。。読む人の状態によっても印象の変わる物語だと思う。ハンナが戦時中の悲劇を何度も再体験しなければならないのが辛い。。2014/03/15

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