暗いブティック通り

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784560027257
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

雪景色のなか、なぜ、恋人たちは突然の悲劇に引き裂かれたのか?記憶をなくした男が、失われた時を求めてパリの街をさまよう―。ゴンクール賞受賞作品。

著者等紹介

平岡篤頼[ヒラオカトクヨシ]
1929年生。1952年早稲田大学文学部卒。フランス文学専攻。早稲田大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

225
主人公が「私」とは誰なのかを探し求め続ける物語。彼は記憶を失っているがゆえに、それは文字通りの意味なのだが、隠喩としての存在論的な意味においてでもある。訳者は、あとがきで「すぐれた現代小説はしばしば推理小説的構造をとる」と指摘するが、確かに現代小説は推理小説とSFにこそ、その可能性と方向性とがあるのかもしれない。様々な人物が登場し、時間もまた時に不安な迷宮に迷い込む。そして、ようやくたどり着いた「解」は、途切れることなく、また新たな「解」を要求し続ける。そこには出口もないし、到達点もないかのようだ。2014/11/20

遥かなる想い

183
2014年ノーベル文学賞受賞 作家パトリックモディアノ の代表作。 『冬のソナタ』の二人の 女性作家に影響を与え、 フランス小説の名作と 言われる本書を初めて読んだ。全編に漂うパリの霧の ようなものが、ひどく哀しく、心に染みる。 記憶をなくした男ギーが 自分を探してさまよう… 過去をめぐる旅は巧妙で、 何度も騙されながら、徐々に 明らかになっていく、 その過程は上質のミステリーの 香りがするのだが…ドニーズとペドロの過去に何が あったのか?ヨーロッパの 時代背景も漂う、フランスの 物語だった。 2014/12/13

nuit@積読消化中

119
主人公の足跡を辿りつつ、パリの地図を片手に読んでみました。主人公が少しずつ記憶を取り戻していく中で出会う人たちとの会話が、とても静かに、そして優しく繰り返されているのが読んでいて心地良かったです。「砂は何秒かの間しかわれわれの足跡を留めない《海水浴場の男》p74」の話は、人生も折り返しにさしかかり、ふと振り返ってみた今の私の心にとても響きました。2017/11/27

ガクガク

85
ノーベル文学賞記念読書。記憶喪失の主人公の「自分探し」物語。第二次世界大戦を挟んで時代と運命に翻弄された主人公が、微かな記憶と友人らの伝手を頼って、自らの人生の過去を探す旅が推理小説風に描かれる。旅の途上で「自分はこの人物に違いない」と思った人はそうではなく、本当の自分は二転、三転なかなか捕まえられない。そして最後に訪ねた少年時代の友人は・・・。「なんだかわからないものの切れはし、かけらだけが、探してゆくにつれて不意によみがえってきた・・・しかし、結局のところ、人生ってそういうものなのかもしれない・・・」2014/11/19

とろこ

64
記憶喪失の男がいた。彼は、自分の過去を探す。様々な人の証言により、彼は、自分は〇〇だと思い込むが、別の証言により、それが否定される。その結果、一つの名前に行き当たり、記憶も断片的に甦るのだが、その全てが靄の中にあるかのように、はっきりと、自分のものだと実感できない。そこで、鍵を握る人物に会おうとするのだが…。自分という存在と過去の記憶。記憶が、その人物をその人物たらしめている割合は、どれほどなのだろう。自分とは?という謎にどっぷり浸かった読書体験だった。2018/11/11

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