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鉄腕ゲッツ行状記―ある盗賊騎士の回想録

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  • サイズ B6判/ページ数 244p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560026298
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C1023

内容説明

舞台は16世紀前半の神聖ローマ帝国。戦場で失った右手に精巧な鉄製義手を付け、武勇の限りを尽くした男の前代未聞・痛快無比の自叙伝。

目次

第1部 フェーデ(生い立ち、ブルグント遠征、辺境伯の小姓としての日々;スイス戦争、マクシミリアン一世から言葉をかけられる;盗賊騎士ゲッツの誕生、ニュルンベルク戦争での大手柄;厚顔無恥な傭兵を相手に、危険な立ち回りを演じる;追い剥ぎ同然の騎士たちがぶつかり合う、小さな逸話;砲弾で片手を失うは、鉄腕騎士となってますます暴れる;姓名未詳の煽動者を支援した。ゲッツ兄弟の短い逸話;対ケルン市のほか、フェーデがフェーデを呼ぶ日々;対バンベルク・フェーデ、ただし狙いはニュルンベルク;帝国追放刑と破門、さらには戦争で捕虜となる体験;生涯最高額の身代金を得るフェーデ、他の騎士との確執)
第2部 農民戦争(農民軍に無理強いされて、その隊長となったいきさつ;農民戦争の責任を問われ、二年の幽閉生活を送る;釈放に際しての条件、裁判官の横顔とルター派の信仰;シュヴァーヴェン同盟解放で失われた釈明の機会)
第3部 騎士としての武力行動(若いころ、一貴族の争いに加勢し、捕虜となる話;ジッキンゲンを訪れる途中、見知らぬ騎士に襲われる;恩赦で軟禁を解かれ、対トルコ戦争でウィーンにおもむく;すでに高齢ながら、カール五世のフランス遠征に参加する;世のため人のために生きたことを、今一度教訓として語る;神の恩寵を信じつつ、回想に終止符を打つ)

著者等紹介

ベルリヒンゲン,ゲッツ・フォン[ベルリヒンゲン,ゲッツフォン][Berlichingen,Goetzens von]
1480/81‐1562。「中世最後の騎士」と呼ばれた神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世の時代に、若年より剛勇をもって知られた小貴族。1504年のバイエルン継承戦争で右手首から先をカルバリン砲により吹き飛ばされたが、精巧な鉄製の義手を得て、以後ますます暴れ回る。口実を見つけては大貴族や繁栄する都市にフェーデ(私闘)をしかけ、賠償金や身代金を強奪するのだ。そのため盗賊騎士・鉄腕ゲッツと呼ばれ、大いに恐れられたが、ドイツ農民戦争に際しては農民軍の隊長に担ぎ出されている

藤川芳朗[フジカワヨシロウ]
1944年生。東京都立大学大学院修了。ドイツ文学専攻。横浜市立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

六点

82
中世最末期の「騎士」として、世界的に有名な人物の回想録。『ベルセルク』のガッツのモデルになった人としても有名である。世界史好きにとっては「ああ、『帝国アハト刑』って宣告されるとこうなるのか」「Fly as a bird」って碌でもない意味であったのだなと、当時のドイツの社会の実相を知るには最高の一書であろう。なお、ゲッツの兄の系統の子孫が、現在も続いており(本書注)、その子孫がゲッツの居城でホテルを経営しているそうである(井上章一『京都ぎらい』)ゲーテの戯曲も読んでみたくなった。2022/05/20

しいかあ

4
近世を思うがままに生きた中世騎士といった趣で、どことなくドン・キホーテを彷彿とさせる。ルター派に改宗していたそうだから、もしかしたら農民戦争に参加したのには宗教的な情熱もあったのかも。義手の詳細な図版がついているのだけれど、予想以上に精巧な作りで驚いた。これを考えた職人は天才だとおもう。2016/12/20

左手爆弾

4
「片腕を失っても、五体満足な人間に負けないような活躍をしてみせる」ゲッツはそのように決心し、実際に様々なフェーデの大立ち回りを演じてみせる。独文学者による「わしは〜せなんだよ」という語り口はユーモアに溢れている。そして本人は悪びれておらず、自らの潔白さを証明するためにこの伝記を書いたと嘯く。解説にも現れているように、この時代に盗賊やフェーデを組織するのは十分な人数と訓練、装備が必要であり、これをコーディネートするのにはそれなりの才覚と技倆が必要であったことがうかがえる。2015/10/07

塩崎ツトム

4
のちにゲーテが彼をモデルにした戯曲を書いて一躍人気作家となった片腕の盗賊騎士、ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの自伝。彼はドン・キホーテと違い間違いなく実在の人物なのだけども、その活躍譚には何とも言えぬ、味わい深い滑稽さがある。例えるなら、自分には人間的魅力が満ち満ちていると錯覚している、斜陽産業の中小企業の三代目社長のような滑稽さ。2014/06/03

すけきよ

3
16世紀ドイツの、無頼な騎士とも盗賊とも称されるゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンによる自叙伝。鉄腕ゲッツの名の通り、右手は精巧に作られた鉄の義手。おおっ! 足りないのは鉄板と見まがうばかりの大剣だけじゃん!(違います)それを期待して読むと、手に関する話はあまり出てこず、肩すかし。その代わり、中世から近世への過渡期の騎士の生活が面白い。なんか寅さんみたいな感じもあって、ホントかよ? という武勇伝も語られているんだけど、他の史実と比べても同じことが記されていて、けっこう正確だとか。2009/12/20

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