内容説明
腐敗した布の切れ端から、ミイラ化した皮膚から、病に冒された遺骨から、X線調査によって一族の栄光と聖性をさぐる、異色のドキュメンタリー。
目次
サン・ロレンツォ聖堂とメディチ家礼拝堂
礼拝堂はパイ生地のごとく
一族の埋葬 歴史と伝説
一五五九年/一八九五年 ロレンツォ・イル・マニーフィコ 遺骸発掘
一七九一年 霊廟満杯 初の墓所全体調査
一八五七年 レオポルド二世による遺体調査
ヴィオランテ、安らぎなき姫君
一八七五年 「曙」と「黄昏」の危機
土産狩り
二つの遺品に四つの名〔ほか〕
著者等紹介
市口桂子[イチグチケイコ]
大阪府出身。大阪外国語大学卒。ボローニャ在住。漫画家、エッセイストの仕事を続けるかたわら、多数の日本の漫画・書籍をイタリア語に翻訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ののじ
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メディチ家の謎はまだまだ続く…。それにしても、ジュリアーノの頭蓋に残る傷が痛々しい…2013/06/29
釈聴音
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謎だけ提起されて、解決がないミステリーを読まされた感じ。何せ調査自体が全然進んでいないのだ。全貌が明らかになる日を待ちたい。2012/06/26
ユーディット
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物足りない気もするが、あっという間に読めたということは面白かったということでしょうか。一般にメディチ家の歴史として知られてないエピソードも多少あった。ロレンツォの鼻の頭蓋骨写真がリアルで鼻声だったという文献を裏付けているように見えたし、実際にピッティで見た衣類が発見された時の様子が心に迫った。アレッサンドロ黒人説に関しては納得いかなかったのがすっきりした。2012/03/16
fuchsia
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初心者にも判りやすい考古病理学のレポートとして読む分には非常に面白かったです。とにかく、ヨーロッパ貴族・王族の巨大な「石棺」は、あの中は一体どうなっているのよ、という恐怖に満ちている存在だったのですが、気候や石造りの教会堂の地下に安置という特殊条件のせいか、結構な割合で死蝋化(脂肪と水分がアルカリ性の化学変化をおこして蝋化する一種のミイラ?)していたらしい。というわけで、ウフッツィ美術館に展示してあるメディチ家の人々の衣装なんぞは本当の経帷子だったりするわけで・・・やはり恐ろしい。2006/12/01
ネロ
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目が合ったので読んでみた。副題が『X線にかけられた領主たち』題名通り墓を掘り起こして、有名な人々の死因やその時代について探っていくというもの。そんな事していいのかなと読みながら思ったが、それは当事者達も常に考え周囲からも幾度も問いかけられた問題だったようだ。 考古病理学なんて分野があったとは知らなかった。幾度か墓を移動したり、調査したり、墓泥棒に遭ったりしているので調査は容易ではなかったらしい。 この本はプロジェクト・メディチの開始直後に書かれたようなので、その後の結果については記されていない。気になる。2019/01/29