内容説明
わたしは1738年7月13日の生まれ、出生地はこの大都市パリである。わたしの父は手工業者と一般にいわれている人々からなる階層に属し、ガラス屋を職業としていた。父は結婚すると同時に自立した。結婚相手は貞淑な娘で、父との間に4人の子をもうけた。3人が女の子、一人が男の子、このわたしで、これから書こうとしているのは、このわたしについてのちょっとした無分別な行動の数々なのだ。職人が残した驚くべき日誌。十八世紀フランス社会と巡歴職人の生活を克明に記した、第一級史料、待望の全訳。詳細な注、解説、ロバート・ダーントンの序文付き。
目次
序
ある庶民の自叙伝
わが人生の記
ジャック=ルイ・メネトラ、十八世紀を生きたある人生のかたち
1 子ども時代、結婚、文化
2 快楽と遊び―笑い、暴力、セクシャリテ
3 仕事、絆を深める喜び、そして経済力
4 空間と場、時間と動作
5 社会的世界
6 宗教と個性
著者等紹介
ロシュ,ダニエル[ロシュ,ダニエル][Roche,Daniel]
1935年パリ生まれ。パリ第一大学=ソルボンヌ教授(1978‐99)、社会科学高等研究院指導教授(1989‐97)などを経て、コレージュ・ド・フランス教授(1999年以降)
喜安朗[キヤスアキラ]
1931年生まれ。日本女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中世ヨーロッパの吹きガラス職人はよく各地を転々としながら制作していたとされるので、てっきり吹きガラス職人の自伝かと思っていましたが、ステンドグラスや窓ガラスなどをはめ込む技術を持った職人の話でした。内容は職人による自伝のほか、ロバート・ダーントンによる大まかな内容解説、ダニエル・ロシュによる詳細な解説で構成された大著です。 私たちが過去の歴史を知るための資料として利用しているものの多くは、支配階級からでた洗練された作品なのでメネトラのように庶民階層の生活を復元できるのは難しいのです。2011/09/26