内容説明
古典の新訳、モンテーニュの真髄。『エセー』の中で最長、最大の章、難解をもって知られる「レーヨン・スボンの弁護」を収録。
目次
第二巻(つづき)(レーモン・スボンの弁護)
著者等紹介
宮下志朗[ミヤシタシロウ]
1947年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。フランス・ルネサンスの文学と社会、書物の言語態(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マッピー
18
白水社の『エセー』全7巻の折返しの第4巻にして最難解と言われる「レーモン・スボンの弁護」収録。「レーモン・スボンの弁護」とは、理性によって信仰を立証しようとしたスボンの論をモンテーニュが弁護しようとしたものである…はず…なのだけど、気がつくと神に選ばれた人間という存在=特権的存在を徹底的に否定している。あれれ?難解な部分も終えて、エセ―の坂も下りに差しかかります。とおもったら、次巻はもっとも分厚い巻になるらしい。1巻も相当長く感じたんだけどなあ。毎回が勝負巻の『エセー』。頑張らねば。2023/04/12
いとう・しんご singoito2
10
17世紀初め、先行世代の知的混乱に失望したデカルトは方法の探求と誤謬の原因追及に取り組むことになるのですが、16世紀末の本書はまさにその混乱ぶりをハッキリと見せてくれます。古代ギリシャ・ローマや東西インド由来の奇譚の連続はまるで百鬼夜行絵図か鳥獣戯画。そして理性や知覚に対する不信が不可知論と相対主義をもたらすのですが、著者はパスカル的な絶望、ニーチェ的な虚無に陥ることはないのです。そこには戦乱の時代に怖い思いをくぐり抜けながら生き延びた人に特有な、したたかさとしなやかさがあるんだと思いました。2023/11/16
はなよ
8
ピュロン主義がこれでもかと詰まった「レーモン・スボンの弁護」が丸々一冊で表現される。凄い長いうえに、現代の科学を知る私達にとっては笑うしかない表現も多々あるので、適当に読み流すのが一番かも。だけど、いかにも事実のように言われている出来事も疑うというのは、現代でも当てはまる。例えばアンケートや様々な治験の結果。これだって、実施している側が求めている結果を出すような人間を集めれば、その通りになってしまう。~千人が導き出した結果、と言われたところで、それを全て信用しない事が一番かもしれない。2017/10/16
朝乃湿原
7
第4巻「レーモン•スボンの弁護」はモンテーニュが集積した、古代文献からの知識を総動員した重厚な巻である。ルクレティウスを主として、様々な哲学者の引用と、モンテーニュの思考が見事に調和されている。『エセー』を読み始めて、ようやく折り返し地点を迎えたわけだが、難しいながらも、全く飽きはこない。むしろ喜んで著者の考えを吸収しているように感じられる。さて内容についてだが、レーモンスボンの「信仰を理性によって支える」といった主張の弁護のはずだったのだが、弁護は前半のほんのわずかな部分のみで、あとは人間の理性の無力さ2023/06/07
amanon
3
結局、一体何の話だったのか?訳者が最も難関と謳っていたため、かなり身構えて読み進めたが、理解の程はともかくとして、文体は平易だったため、わりにサクサク読み進めることができはした。しかし、首尾一貫した流れがあるようなないようなという、かなり取り留めなのない内容という印象が拭えない。実際、章立てが全くないという原著に章立てを施すという試みもなされたらしいが、さもありなん。解説にもあるように、スボンを弁護すると題されていながら、スボンへの反論も見受けられるというのだから、その意図するところは不可解極まりない。2021/01/24