出版社内容情報
<書物復権2005年・8社共同復刊>
「運命の女神」という最もグローバルな伝説を口承資料と祭祀を中心に民俗学的に考察し、人類の基層の信仰文化を解明する。民話学の画期的労作。
内容説明
子供が生まれて三日目の夜、運命の女神たちが訪れ、その子の死について予言する。それはあらゆる努力にもかかわらず、意外な形で成就する。この最もグローバルな古典的な伝説を、現代の詳細な口承資料と祭祀を中心に民俗学的に考察し、人類の基層たる信仰文化を解明する。民俗学の画期的名著。
目次
第1部 運命の女神の民間説話(古代の運命説話;東洋の運命説話;ヨーロッパの定められた死の運命伝説)
第2部 運命の女神の民間信仰(ギリシア人の運命の女神(モイラ)
アルバニア人の運命の女神の民間信仰
ルーマニア人の運命の女神
スラヴ民族の運命信仰 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Takayuki Oohashi
8
古の西欧の人々は予期せぬ不幸に見舞われた時に、それが生まれた時から運命の女神に定められていたとして、納得しようとしたそうです。それを豊富な事例と共に紹介している本です。僕の書いているショートショートのノルンのことも具体的な紹介で書いてあります。創作の参考文献としては、一級の資料本だと思います。2015/09/12
兵士O
7
ヨーロッパのキリスト教が入る前の民間信仰では、子供が産まれた時に供え物がなかったり、家族に横柄な人がいたりすると、運命の女神が気を悪くし、子供に不幸を予言し、実際確実にそうなると信じられていたそうです。この本ではそれだけでなく、古代ギリシャのオイディプス伝説(実の母と結婚する息子の話)による民間説話への伝播の項や、運命の女神の説話がキリスト教化されて幸せな結末になる例など、いろいろな側面からこのテーマを考察・記述しています。僕が別な本の感想で書いたノルナゲストの伝説もぜ~んぶ、この本では網羅されています!2021/10/02