出版社内容情報
今世紀を代表する思想家でありながら、歴史、言語、芸術論など扱う対象が多岐に渡るため、その全体像が十分には理解されてこなかったベンヤミン。初期から晩年の断片群「パサージュ論」に至るまでの彼の特異な思考の核を、太宰の「トカトントン」やカフカの作品を手がかりに探る書き下ろし論考。
内容説明
廃墟からの構築としてのアレゴリー。『ドイツ悲劇の根源』から『パサージュ論』までを通して言語哲学、歴史哲学、複製芸術論、商品フェティシズム論など多岐にわたるベンヤミンの思考の核を浮かび上がらせる、刺激的かつ本格的な論考。「いま」と衝撃的にショートさせる、アクチュアルなベンヤミン論。
目次
序にかえて 出発としてのトカトントン
1章 救済の遠近法―コードなき暗号解読
2章 髑髏のにたにた笑い―廃墟からの構築としてのアレゴリー
3章 モザイクと「根源」―「自然史」としての言語と歴史
4章 屑拾いの朝―希望としての「原史」
5章 万華鏡の破砕―永却回帰と「弁証法的イメージ」
6章 亡霊としてのフラヌール―商品アレゴリーの逆転