感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
呼戯人
13
異化という文学的手法を哲学に応用して書かれた文学的・哲学的エッセイ。日常見慣れたものをもう一度異なる眼で見直し、改めて意味づける作業のことを異化効果と呼ぶが、その原語はverfremdungenだ。ヘーゲルやマルクスが使う疎外と親戚の言葉だが、、そのように物事の本質が普段おかれている物事自身が持つ本来の文脈から引き離してみる方法である。ドイツの文化全般を論じおり、非常に面白い。最近柄谷行人がその交換様式論からブロッホの希望の原理を取り上げ直しているが、現代でもこの哲学者は見なおされても良い。2016/02/11
袖崎いたる
6
読む読む詐欺で5年近く経ち、なぜかバウハウスへの関心からブロッホを手に取るというアトランダムな読書としてたどり着いた本書。タイトルにもあるように異化の書。異化といえば大江健三郎が文学論を打ちだすときに用いた用語としても知られている。意味は見慣れたものを不気味なものとしてまなざすこと、かな。驚いたのは本書がエッセイ集として編まれているってこと。これが書かれた頃のドイツではエッセイは小出しにした論文未満の真善美認識なのではなくて、芸術作品のようにそれ自体で真理を創出する力があるものだという認識だったんだとさ。2020/10/05
のほほんなかえるさん
0
俗に言うヨーロッパ精神の強みと弱みを垣間見た。2011/07/05