内容説明
文学テクストの精緻な読み方を語り、作家の内面に、独自の文体学手法で迫る。
目次
第1部 表層解釈の問題点―「地獄での一季節」にそくして(慣用句解釈の一点張り;接続詞etの位置;同じ形で違う機能;会話の慣用句は知らないと落とし穴;表層解釈は文明の深みと絡む ほか)
第2部 フランス文体顕美鏡 深層解釈(サルトルの哲学を生理感覚で把握する―『吐き気(嘔吐)』『自由への道』『アルトナの幽閉者』
謎の大過去 思考の長回路 クローデル―『わたしの回心』『しゅすの靴片方』
象形文と「文化的美」ヴェルレーヌなど―『フェードル』『恋人たちよ、幸せな恋人たちよ…』『墓の彼方からの回想』『秋の歌』
切迫した美しさのアラゴン―『リラとバラ』『詩法』
空を海に変える不安のサン=テグジュペリ―『人間の土地』『小君主(星の王子さま)』『戦う操縦士』『南方郵便機』『城塞』 ほか)
著者等紹介
篠沢秀夫[シノザワヒデオ]
1933年東京生まれ。中学からアテネ・フランセでフランス語を学ぶ。学習院大学フランス文学科、東大大学院卒。1959年フランス政府給費留学生試験首席合格。1963年明治大学法学部専任講師。1973年学習院大学文学部教授。学習院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bevel
1
小林と鈴木信のランボー訳を参照しつつ、語学的に正確に、そして自信たっぷりに地獄の季節の冒頭を訳していくのが前半。後半は構造主義的な文体研究のレジュメがいくつかならべられている。2010/02/24
studyingtopology
0
第一章ではアルチュール・ランボーの「地獄での一季節」(このタイトルも氏のこだわり)を翻訳した小林秀雄氏の訳文への批判が結構ありました。篠沢氏は中学の頃からアテネ・フランセでネイティブにフランス語を習っていたそうで、若い頃から本当のフランス語を深く理解していたようですが、小林氏はフランスに行ったこともなければ、フランス文化も知らない、ただ書物でフランス語を学んだだけらしいので、「表面的には訳されているが、わかっていない」といった論調で、相当手厳しい。2015/09/08