目次
第２０章 偉大さに憑かれた大統領
第２１章 ペンタゴンの戦争ゲーム
第２２章 ジョンソンの内なる戦い
第２３章 泥沼に築かれる記念碑
第２４章 汚い戦争と将軍たち
第２５章 真実を知らされない国民
第２６章 クレディビリティ・ギャップ
第２７章 戦争とインフレと偉大な社会
第２８章 歴史の流れに逆らった人たち
第２９章 出口のないトンネル
著者等紹介
ハルバースタム，デイヴィッド［ハルバースタム，デイヴィッド］［Ｈａｌｂｅｒｓｔａｍ，Ｄａｖｉｄ］
アメリカ最高のジャーナリストにして作家。１９３４年生まれ。ハーバード大学を卒業後、南部地方紙の記者を経て６０年ニューヨーク・タイムズに入社。６２～６４年ベトナム特派員を志願、その勇気ある報道でピューリッツァー賞を受賞。６７年以降は著述活動に専念、ニュー・ジャーナリズムの旗手として優れた著作を発表。２００７年自動車事故で死去
浅野輔［アサノタスク］
国際政治学者。１９３６年石川県生まれ。東京外国語大学英米科、ペンシルバニア大学、コロンビア大学大学院修了。新潟大学・東京国際大学教授、ＴＢＳニュースキャスター、ニューズウィーク日本版初代編集長などを歴任。２０００年に死去（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shin
22
『ベスト＆ブライテスト』。私の乏しい読書人生の中で、「この本にはこれ以上のタイトルは無い」と思ったのは『レ・ミゼラブル』以来だ。最も優秀にして聡明な人々の愚かしさ。それは人格的なものでもあり、組織構造的なものでもあり、そして宿命的なものでもある。彼らの虚栄心と、官僚的保身と、そして求められる職責においては優秀でも聡明でもない愚鈍に振り回され、アメリカの若者が戦場に送り込まれ、その意義も説明されず、理解せぬまま死んでいく。本書ではその描写は無いが、無いがゆえにそこへ思いを馳せずにいられない。2016/01/20
鮫島英一
15
サラミを切るように慎重に決断をするジョンソンと、その行動論理を把握している軍部。一度下された決断はどれだけ小さな一歩だとしても、戻ることはもちろん、立ち止まることすらままならない。何故なら決断に関与した人物達のプライドとか自尊心が賭けられているから。徐々に徐々に泥沼に嵌っていくその様には、『ベスト＆ブライテスト』と称賛された面影はない。『ベスト＆ブライテスト』など只の虚像に過ぎないのだ。ドリームチームだとか史上最高の英知だとか持てはやすような事態に直面したら、危険な兆候だと判断するべきだろう。2022/08/02
Satoshi
13
北爆について、一部の政府関係者は疑念を出すが、ジョンソンとマクナマラは耳を貸さない。統計による意思決定に重きを置くマクナマラに正しい情報すら入ってこない。アメリカ国民もこの矛盾に気づくが、超エリートであるバンディはまともに説明できない。３巻にわたり、アメリカのエリートが愚かな選択をする過程を描いている。結局、間違った前提情報と先入観、驕りがあれば正しい選択はできない。2022/09/23
MUNEKAZ
8
最後まで読んで「あれ？」と思ったのだが、原書はベトナムからアメリカ軍が撤退する前に書かれていたことに今更ながら驚き。ジョンソン退陣後も続くベトナムへの介入を、暗く長いトンネルになぞらえる終章は、当時の空気感を伝える。組織防衛のための楽観的な予測が無批判に積み重ねられることで、虚構の「現実」が生まれ、その現実に基づいて愚行が繰り返されていく。当時のエリート層の傲慢さや冷戦に捉われた現状認識を超えて、組織に起こる普遍的な陥穽も描き切ったところに、本書が時代を超えて読み継がれている価値があるのであろう。2020/11/09
yooou
7
☆☆☆☆☆ 本書は1969年に執筆されたものだが、今だ古びずこれからも輝きを放ち続けるであろう作品でした。しかし、その対局には学ばず、過ちを繰り返す我々の社会がある。2010/12/04
