内容説明
秋艸道人・会津八一、奈良・大和路の絶唱「自詠自書」114首を集成。ほとばしる古都の詩情。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クラムボン
9
先日「奈良の宿・日吉館」を読んだ。そこで会津八一のひらがな書きの歌の「書」を見た。明らかに印刷された活字から受ける印象とは違った。以前、八一の歌を読み友さんに紹介していただいたが、…その時は縁遠かった。しかし「書」から何か詠むヒントを得た気がした。「會津八一と奈良」―歌と書の世界―では、百十余首も八一の書が読める。歌は古(いにしえ)の言葉が使われ、意味が取り辛い「ひらがな」で書かれる。なので二重の壁があるのだが…。其れさえ捕まえれば、古都への並外れた愛と大らかな歌風もあって、八一の世界に浸ることが出来る。2024/05/17
モリータ
6
◆1992年二玄社刊。會津八一自筆の短歌+入江泰吉の写真+解説。◆「本書には、『南京新唱』『鹿鳴集』『山光集』所収の奈良の歌のほか、「西遊咏艸」「豆本」などに見える、歌集には採られなかった歌をも収録した(「凡例」)。◆「會津八一は、人に揮毫を求められた場合、書くもの内容は、自作の歌か俳句、または愛誦する古人の詩句に限られていたが、その中でも最も多く書いたものは歌である。自作の歌に対する愛着と自信はいうまでもないが、それを読む人々に、その一音一音が正確に聞きとられることを希ったのである(「あとがき」)◆2025/07/19
荒野の狼
6
会津八一は歌人であるとともに書家であるが、本書は八一の代表的な歌114首のひとつにつき、見開きの2ページで紹介。それぞれの歌の八一の直筆の写真、歌のゆかりの地を入江泰吉が撮影した写真、これに西世古柳平が歌の現代語訳と解説をしている。西世古の解説は八一自身の解釈を紹介している他、歌の音韻についても解説。たとえば法隆寺の金堂の歌で、八一自身はタ行が多いのはことさらに意識したわけではないとしているが、これを「作者には特に意識することはなくても、音韻によって対象を写すという特質が備わっていたp181」としている。2021/12/05
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