内容説明
「マンガ」というものの正体を追求し、マンガ評論に一時代を画した著者が、書とは無縁だった人々のために綴った書の鑑賞記。古代中国の甲骨文から近代日本の書に至るまで、歴代名蹟の数々に正面から挑み、悪戦苦闘しつつ“書”なるものの解明を試みる。
目次
甲骨文・イタズラ描きの記憶
石鼓文と泰山刻石「かわいい」VS「かっこいい」
木簡はカラオケである
アブストラクトな摩崖拓本
曹全碑のあだな寝姿
王羲之・天才と書聖のちがい
北魏石刻・筆とノミ
欧陽詢・王朝官僚の美学
懐素「自叙帖」張旭「古詩四帖」草書とジャズ
空海は、くえない〔ほか〕
著者等紹介
夏目房之介[ナツメフサノスケ]
1950年東京生まれ。青山学院大学卒。マンガ、エッセイ、マンガ評論などを手がける。1999年「手塚治虫文化賞特別賞」を受賞。2008年より学習院大学大学院教授を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魚京童!
12
なぜ見つからない!2015/12/06
星空の挑戦者
7
最近字体のもつパワーに関心あり。ルーツは中国だろうけど。中にはこんなん読めンでキッタネーもあるが、威厳を感じる凄いのもある。書道は「アート+説得力」というジャンルと思うことあり。パソコン打ちとは正反対の世界だからこそ興味深い。2010/08/19
baアタマ
2
「書の宇宙」全24冊 に連載された著者のエッセイだけをまとめて書籍化。ペラペラめくっただけだけど書は思ってたよりずっと表現の幅があるんだなあと感心。草書とかさらさら書けたらそりゃ素敵っぽい。著者は漫画評論家で漫画に例えてくれて解りやすい。(漫画を知らないとかえって解りにくい)色んな漫画が読めていいなあと常々思っていたら、私物のアメコミを離さない書の大家(草森紳一氏)に差し上げることになったそうです。2015/08/05
もこ
0
★★★★書には疎いと仰ってますが、やはり漫画家だけあって芸術的センスは持ち合わせてるんだなあ〜。寸松庵は少女漫画の構図と一緒とは、なるほど!面白い見方もあるんだなあ〜作品を何時間も見るくらいの根気が欲しい。2017/07/24
正坊
0
図書館の本。最近、柄にもなくペン習字なんぞに手をつけていて、書とか習字に少し興味を持ったので読んでみた。著者は漫画を描いたり評論したりする人で(夏目漱石の孫らしい)、その観点から古代の甲骨文字から空海・日蓮も含め清代に至るまで、著名な書家の書について感じたことを述べているのが面白い。残念ながら、掲載されている書の写真は多くが草書だったりするので、これがほとんど何の字かほとんど読めない。お宝鑑定団で見かけた副島種臣の独特な書や、顔真卿のようなカッチリした楷書がたまに出てくるとほっとする。2022/08/21