出版社内容情報
本書は測定における「不確かさ」の概念とその評価方法について、ニュートリノ速度の測定例を冒頭に挙げながら、わかりやすく解説したものです。日本電気計器検定所(JEMIC)の季刊誌『JEMIC 計測サークルニュース』での連載記事を元にしています。測定値の信頼性を示す定量的指標としての「不確かさ」の重要性や、真値が不明な測定においてどのように不確かさを評価・表現すべきか、国際的なガイドラインであるGUM(Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement)を交えて詳述しています。
1章「『不確かさとは何か』のおはなし」から始まり、不確かさ評価の骨組み(2章)、確率のすれ違い(3章)、測定モデル(4章)、偏微分(5章)、タイプA評価の基本式(6章)、量子化誤差(7章)、測定していないものの不確かさ(8章)と続きます。さらに、有効数字と不確かさの関係(9章)、手軽な不確かさ評価(10章)、不確かさの不確かさ(11章)、測定のばらつきの階層構造(12章)、相関の扱い(13章)、情報量と不確かさ(14章)、誤差評価との接点(15章)、そして勇気ある不確かさ評価(16章)まで、幅広いトピックを網羅しています。
読者が興味のある章から気軽に読み進められる構成となっており、不確かさ評価が単なる面倒な作業ではなく、知的好奇心を刺激する興味深い分野であることを実感してもらうことを目指しています。
【目次】
1章「不確かさとは何か」のおはなし―誤差と不確かさはどう違うのか―
1.1 やっかいなかたより
1.2 バイブルとしてのGUM
1.3 神のみぞ知る値
1.4 不確かさを説明する
1.5 誤差とどう違うのか
1.6 「オペレーショナル」なアプローチ
2章 不確かさ評価の骨組みのおはなし―不確かさ評価超入門―
2.1 電流問題
2.2 タイプA評価
2.3 タイプB評価
2.4 不確かさの伝ぱ則
2.5 測定結果の報告
2.6 同一量に複数の不確かさ成分があるとき
3章 すれ違う確率のおはなし―偶然を表す確率とあいまいさを表す確率―
3.1 言ったもの勝ち
3.2 いろいろな確率がある
3.3 すれ違う確率
3.4 モンテカルロ法による分布の伝ぱ
3.5 すれ違いが落とす影
3.6 すれ違いにどう向き合うか
4章 測定モデルのおはなし―モデルがないと始まらない―
4.1 記号化が大切
4.2 量・真値・測定値
4.3 間接測定のモデルと直接測定のモデル
4.4 推定無罪の変数
4.5 表モデルと裏モデル
4.6 モデル化の工夫
5章 偏微分のおはなし―逃げるは恥だが役に立つ―
5.1 不確かさの三大難所
5.2 伝ぱ則不要の測定
5.3 計算機まかせの偏微分
5.4 偏微分は済んでいます―相対不確かさの伝ぱ則
5.5 Excelで偏微分
5.6 偏微分の具体的イメージ―誤差の伝ぱと偏微分
5.7 偏微分ミニマム
6章 タイプA評価の基本式のおはなし―√n分の1因子の由来―
6.1 √n分の1因子
6.2 標本と母集団―こちらの世界と向こうの世界
6.3 期待値と分散の性質
6.4 タイプA評価の基本式
6.5 日常測定のタイプA評価
6.6 √n分の1因子が使えない場合
7章 量子化誤差のおはなし―入れるべきか入れざるべきか, それが問題―
7.1 量子化誤差
7.2 量子化のモデル
7.3 数値的に確認する
7.4 量子化誤差の取扱いのレシピ
8章 測定していないものの不確かさのおはなし―一つおまけの不確かさ―
8.1 たくさんの中の一つ
8.2 一つおまけの不確かさ
8.3 おまけ成分の数理
8.4 測定していないものの不確かさ
8.5 測定誤差の効果
8.6 回帰分析におけるおまけ成分
9章 有効数字と不確かさの深い関係のおはなし―有効桁ルールと不確かさ伝ぱ則
9.1 似てはいないが同類
9.2 有効数字とは何か
9.3 不確かさから有効数字へ
9.4 不確かさと有効数字の間の溝
9.5 不確かさを有効数字で代替できるか(ISO/IE
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