出版社内容情報
牛乳パックで紙漉きしたらエコロジー? 小手先の教材としてでなく本当に有効な環境教育は生き方そのものを問い直すもの。そのために既存の教科の枠組み・学校制度の中で何から着手できるかを提示した刺激的論考。
内容説明
環境教育を有意義なものとするためには、具体的な環境問題を取り上げるとすれば、何を、どこまで踏み込んで考えさせるべきなのか、逆に、生命の尊さや自然の大切さを実感するところから入るとすれば、それを環境問題の理解にどうつなげていくのか、また、実際に環境改善のための活動を行なわせるとすれば、それと地球全体での環境問題の解決との関連をどう考えるのか、といったことが明らかになっていなければならない。要するに、環境教育が全体として何をするのかが明らかになって初めて、個々の環境教育を明確に位置付けることができるのである。しかし、現状では、環境教育の全体像をイメージした上での実践は少ないように思われる。本書は、こうした状況を整理し、統一的に考えるための視点を提案する。
目次
第1章 環境問題の解決とは“私”にとってどういうことか(この問いの必要性―分かってはいるが解決する気がないという事実;“私”とは何か;功利主義のまなざしの普遍化とその見返り ほか)
第2章 学校で環境教育は可能か?(この問いの必要性―「何を教えるか」の前に考えておくべきこと;人間という環境の呪縛;近代学校システムの特性 ほか)
第3章 環境教育の可能性―その全体構想の提案(なぜ、全体構想が必要か;事実レベルのエコロジカル・リテラシー ほか)
著者等紹介
北村和夫[キタムラカズオ]
1949年、長野県更級郡塩崎村(現在は長野市に含まれる)に生まれる。1967年、上京。1981年、東京大学大学院教育学研究科博士課程(教育社会学専攻)単位取得満期退学。現在、都留文科大学、一橋大学非常勤講師。訳書に『稀少性と欲望の近代』(ニコラス・クセノス著 新曜社 1995年 共訳)
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