出版社内容情報
江戸庶民の暮らしぶりが今に息づく深川、洲崎、木場辺りから、ゴミ、ヘドロ、産業廃棄物からなる埋立て最前線まで、東京湾埋立地の現在を足で歩いてレポート。そこには意外で偉大な「自然」が根を下ろしつつあった。
内容説明
陸化のすすむ東京の湾岸はさながら溺れ谷。その地盤は固まっているかに見えて、軟弱さを底にため込む。砂、ヘドロ、生ゴミ、耐久消費材…。雑駁な地層はジワジワと崩れ、静かに沈降しつづける。湾岸埋立地を「整地」として使うには不安さが尾を引く。けれど放置された「裸地」のままであれば、自然は、ふてぶてしいまでの強さを生む―。その「裸地」とのつき合い方を、江戸TOKYOの歴史から、二次自然がつくる眼前の風景から学んでみよう。
目次
1 退行した水際(澪筋から港湾への潮流変化;番外地に温泉・遊廓・地霊わく;陸封された運河の水は老いゆく)
2 混迷する土壌(ゴミ埋立地の発掘;土砂埋立地の変転)
3 埋立地の風景(帰化する風景;埋没する風景;遊動する風景)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
恥づい「自宅警備員」
3
お台場とかの埋立地の管理の問題とか、そういうことが知りたかったのだけど、それ以前に埋立地というのが何でできているのかを知らなかった私にはいい勉強になった。2015/05/19
ポンポコ
0
ひょっとすると押井守はこれを読んでいるのではないかと思ったけど、刊行は『機動警察パトレイバーthe Movie』の2年後だった。江戸湊、東京湾の埋立地の歴史を、そこで生計を営んでいた人々の聞き書きを交えながら描いている。25年も前の本だが、当時は裸地を晒していた地面にいま漸く街が出来はじめている。東京の地面の下には何があるのか、五輪を前に開発が進むいま読むから面白い。入手困難なのが悔やまれる名著!2015/05/30