海に墓標を

海に墓標を

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  • サイズ A5判/ページ数 148p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784540910647
  • NDC分類 K916
  • Cコード C8036

出版社内容情報

海運会社の地下室で発見されたぼろぼろの油絵の束。それには、太平洋戦争中、撃沈された多数の商船とその乗組員の最期が描かれていた。誰が、何のためにこの絵を描いたのか…。歴史を超えて、いま悲劇が明らかに…。

内容説明

青みどりの海原を小さないかだで漂流している男たちの絵があった。いかだのまわりには数ひきのサメが孤をえがいておどりあがり、上半身はだかの男がいかだの上でこん棒のようなものをふりあげ、おそいかかるサメをなぐりつけようとして―。その絵の説明は〈鮫とたたかう漂流中の乗組員―船名不詳〉となっていた。太平洋戦争後37年がたってよみがえった、〈戦時輸送船の最期〉を描いた絵がたどった運命―。

目次

はじめの章 まぼろしの父の絵姿
1章 船は巨大な芸術作品
2章 ぶらじる丸の遭難
3章 戦火の海の墓標
4章 消えた遭難画
おわりの章 後世への証言

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Toska

7
大阪商船の嘱託画家・大久保一郎を取り上げたノンフィクション。戦時中、大久保は社命を受け、戦没した徴用船の船員から遭難時の状況を聞き取り、これを絵画化するというプロジェクトに携わっていた。軍艦の武勇伝と異なり、語られる機会さえ少ない一般商船の悲劇。その生々しい話を生還者から聞き、描き出していった大久保の心境はどのようなものであったか。絵を見て父の最期の様子を知った遺族の話が胸を打つ。2024/04/03

ポンポコ

2
終戦記念日らしい本を。太平洋戦争では多くの命が失われたが、拡大する戦線を兵站で支えたのは民間の商船や漁船だったことはあまり知られていない。本書によれば開戦前の日本の商船の総数とほぼ同じ数の船が戦争により沈んでいる。海運会社お抱えの画家で、生き残った船員の証言に基づき沈む船の絵をさながら海に墓標を建てるが如く描き続けた男がいた。存命中は表に出ることがなかった画家の生涯を児童向けに描いたのが本書。画家も然り、画家を通して描かれる船乗りの心意気にも心を打たれる。画集も見てみたい。2018/08/15

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