出版社内容情報
一億総”豊か”幻想の中で易々と老人医療・年金などの福祉民営化がすすめられ、福祉を買えない「弱者」は餓死・子殺しにさえ追いつめられる。「貧困の女性化」を鋭くルポルタージュ。
内容説明
生存するのも危ういほどの賃金しかもらえず、その低賃金のために、平均をはるかに下回る年金しかなく、もちろん貯金もない女性たちは、どんな老後をおくれるのでしょうか。私は、まじめに働きつづけてきた人間が、年をとってから生きて行くのが不可能な年金制度で平然としている国はどう考えてもおかしいと思います。その国が世界一のお金持ちというから、いよいよ話はわからなくなります。この国は―恐ろしい国ですね。日本エッセイストクラブ賞受賞(『広島第2県女2年西組―原爆で死んだ級友たち』)の著者による渾身のルポ―。
目次
第1章 もう1つの老後
第2章 “子殺し”に母親を追いつめた低賃金長時間労働(宇都宮)
第3章 母親を“餓死”させる“豊かな国”の福祉(札幌)
第4章 見えない老後―この国は恐ろしい国(広島)
対談“買う福祉”を買える人々・買えない人々(久場嬉子氏と)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
棕櫚木庵
23
ずっと昔,この本の広告を見て,内容や著者名は知らないまま題名だけが印象に残り,なにか(たとえば,入管が保護下にある人を見殺しにし,内閣・国会もその再発防止策を拒否したことなどが)ある度に「この国は恐ろしい国」という言葉が脳裏に浮かんでいた.先日,ふと思いついて検索かけて見たら『広島第二県女二年西組: 原爆で死んだ級友たち』の著者だった.社会問題を扱っている古い本だけど,この著者なら読んでみようと図書館で借りてみた.母子家庭の困窮と,その老後の絶望的な見通しの話だった.30年以上前の話だけど,→2023/06/10
ドリアン・グレイ
0
30年前の本なのに現代の話かと錯覚してしまうそれくらいむかしから母子家庭などを取り巻く厳しい環境は変わっておらず暗澹とした気持ちになる.2018/03/08