出版社内容情報
豊かな山の幸や人の絆に生かされた山里―浪江町津島。原発から遠く離れていながら、原発災害が大きく「帰れない山里」に。その中でわが家を解体した人々の無念の思い、山里の風景や文化を記録する取り組みを伝える。
【目次】
内容説明
明るい緑の木々が一面に生い茂り、電信柱をおおいつくそうとしています。ふだんはほとんど見ることがない風景です。こうした風景は、なぜ生まれたのでしょう。このハッとするような風景に出会ったのは、福島第一原発による原発災害で、人が消え、「帰れない山里」となった浪江町津島でした。そこでは田んぼに、木が茂っていたのです。電信柱は田んぼのあぜに立っていました。浪江町津島は、阿武隈高地にある山里で、約450世帯の人びとが、自然の恵みを生かし、助け合って暮らしていました。事故を起こした原発は、山の向こうでした。しかし、原発からもれ出した放射性物質は、風に流され津島にも大量に降り注いだのです。そして、津島は「帰還困難区域」となり、「100年は帰れない」とまで告げられました。避難の長期化で、暮らしていた家も荒れて、4世代10人で暮らした思い出のつまった家、170年に渡って家族を見守り続けた家…、かけがえのない家が解体されていきました。そうしたなか、津島の人びとはつながり直し、ふるさと津島の家々や風景、歴史や暮らし、伝統芸能などの記録・保存に取り組みます。
著者等紹介
豊田直巳[トヨダナオミ]
フォトジャーナリスト。1956年、静岡県に生まれる。日本ビジュアルジャーナリスト協会(JVJA)会員。長年にわたり、イラクやパレスチナなどの紛争地で取材を続けるとともに、アジア各地の内紛・内戦などの「見えない戦争」を取材・報告してきた。また、児童労働や貧困問題など制度的な差別構造にもカメラを向けてきた。劣化ウラン弾問題やチェルノブイリの取材経験をもとに、東日本大震災後は福島を中心に取材活動を継続し、映画製作にも取り組む。取材で出会った人々が、困難に立ち向かう姿を記録し、人々の記憶に残る仕事を、と心がけている。『それでも「ふるさと」全3巻』(農文協)で第66回産経児童出版文化賞[大賞]受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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