出版社内容情報
2023年4月、農地取得の下限面積が廃止となりました。これによって、小面積の農地の貸借が急増し、子育て世代や定年退職世代の非農家を中心に「小さい農業」が広がっています。また、各地で小さい農業を育てる学校や体験農園が人気となり、修了後は農地を取得して専業農家になる人も出てきました。
本書は、半農半Xや有機農業で人を呼び込み、余った農地をフル活用して地域を元気にする「使い切れない農地活用読本」の続編であり、「小さい農業」を始めるときの手引きとなります。「Ⅰ まちで、むらで 小さい農業を始める」では、都市近郊の「マイクロファーマーズスクール」や農村部の「烏川体験農場」を中心に、農業以外の仕事をしながら自給自足暮らしを目指す人や農家と一緒に農業を学ぶ場をつくる人など、農的LIFEを楽しむ人を育てる仕組みを紹介。「Ⅱ 手間をかけずに農地を活かす」では、稼げる品目(ヘーゼルナッツ、アーモンド、ムクナマメほか)や、粗放栽培に向く品目(枝物、ヨモギ、クランベリーほか)、獣害に強い品目(イタドリ、カモミール)など、遊休農地におすすめの32品目を解説します。「Ⅲ 知っておきたい 農地の制度と法律」は、実際にあった農地の法律相談など、身近な話題がテーマになっています。そして「Ⅳ みんなで農地を守る」は、人と農地の問題をどのように考えていったらよいか、地域での話し合いによる「地域計画」の作成の仕方や農地を守る組織づくりの実践を取り上げました。
【目次】
目次
はじめに
農地取得の下限面積廃止で 小さい農家が続々誕生!?
細切れ農地が豊かな農LIFEの入り口に
(静岡県浜松市)
[コラム]下限面積廃止を農業委員はこう見る
Ⅰ まちで、むらで 小さい農業を始める
●始める&育てる仕掛け
副業で農業を!「マイクロファーマーズスクール」が大人気
みんなで「農活」! 農に関わり人は地元にいた
農地取得までサポートする 兼業農家の学校ができた
各地から 小さい農業を支援する動き
●小さい農業×不耕起栽培
草は緑のソーラーパネル 不耕起・自然農法の現場を見た
「スモールメリット」を活かした 循環型共生・不耕起イネづくり
[コラム]小さい農業の応援に行政が乗り出した
Ⅱ 手間をかけずに農地を活かす――おすすめの品目と利用法
●稼げる品目
ヘーゼルナッツ 寒さに強く、加工品が人気急上昇中
アーモンド 荒れ地で自然農法 花も果肉もぜーんぶ売れる
茶の実 放棄茶園は宝の山、油を搾る
ムクナマメ 耕作放棄地30aで売り上げ400万円
●農地の粗放利用に向く品目
枝物 手間をかけず、遊休田も活かせる
ヨモギ(食用)肥料や農薬も必要ない
(お灸用)「切り下」利用で株が即再生
ダッタンソバ 赤クローバと組み合わせ、326ha有機栽培
クランベリー 湿地に強い、遊休水田向き!?
●獣害に強い品目
イタドリ 草取りも、高額な機械も必要ない
カモミール エゴマの後に栽培、獣害に強い二毛作
●木を植える
ナツメ 移植も簡単、国産ナツメに需要あり
早生桐 驚異の成長スピード 5年で用材に
まだまだあるぞ 粗放栽培に向く品目
ドクダミ、クワ、シソ、ラッキョウ、クルミ、ハナモモ他
●耕作放棄地は最高の畜舎
豚や牛は強力な援農パートナー
1年中、草をつくって与える牧草養鶏
サル害もイノシシ害も減った 集落みんなでヤギを飼う
[コラム]ヒツジが有機農業を全力応援
Ⅲ 知っておきたい 農地の制度と法律
農地の取得をめぐる制度の変遷
実録! 農地の法律相談 よくあるトラブルQ&A
[コラム]所有者不明農地が活用しやすくなった
Ⅳ みんなで農地を守る
地域計画をきっかけに 農地と担い手のこと考えた
百姓百人でにぎやかに暮らすための農地中間管理チーム
山間の農地を守るのは地域の支え合い、都会の「自給家族」
地域計画を絵に描いた餅にしないために
おすすめ品目&用語索引