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内容説明
2011年春に全村避難となった飯舘村。その北西部に拓かれた前田集落で、農業(百姓)一筋で生きてきた佐藤忠義さん。集落のみんなと伊達市の仮設住宅(仮設)に避難しました。暮らしのすべてだった田畑、生きがいの百姓仕事。避難によって、そのすべてを失い、くやしさと悲しさ、さびしさ、やるせなさが、くり返し胸にわいてきます。それでも、佐藤さんは仮設住宅の自治会長を引き受けました。仮設に暮らす、自分より年長のお年寄りを励ますために。自治会では、折々にお花見会やお茶会なども開き、くじけそうな気持ちやふるさとへの想いをつないでいます。
著者等紹介
豊田直巳[トヨダナオミ]
フォトジャーナリスト。1956年、静岡県に生まれる。日本ビジュアルジャーナリスト協会(JVJA)会員。長年にわたり、イラクやパレスチナなどの紛争地で取材を続けるとともに、アジア各地の内紛・内戦などの「見えない戦争」を取材・報告してきた。また、児童労働や貧困問題など制度的な差別構造にもカメラを向けてきた。劣化ウラン弾問題やチェルノブイリの取材経験をもとに、東日本大震災後は福島を中心に取材活動を継続し、映画製作にも取り組む。『それでも「ふるさと」全3巻』(農文協)で第66回産経児童出版文化賞[大賞]受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒラP@ehon.gohon
23
避難指示は解除されたけれど、長い年月に回収され蓄積された汚染物質と同居するような村を目にしました。 村に戻りたいという気持ちと、村にはもう帰れないという気持ちで、出なければいけなくなった仮設住宅の村民たちは複雑な思いで、別れていくのでしょう。 この絵本で紹介された佐藤さんには、村に対する愛着の深さと、そこで生きようとする強い決意を感じました。 厳しい現実の中で、復興を願わずにいられません。2021/05/31
遠い日
8
「それでも「ふるさと」あの日から10年」シリーズ。福島県飯舘村。「サマショール」ということばが重い意味を持つ。原発事故で汚染され、避難せざるを得なかった佐藤さんたち。祖先が苦労して開いた土地を、みすみす捨てるに忍びない。そんな思いで、自分には百姓しかないと、避難指示解除後に米作りを再開した佐藤さんたち。希望はずっと先。虚しさの方が強いかもしれないが、それでの自分にできることをする。地域と向き合う者がいなければ、ふるさとは消滅してしまうから。2021/04/27
たくさん
1
震災から10年いろんな本が出ているけど、漠然としがちな私たち。こうやって一人の人にフィーチャーして一緒にいる感じがすると投入できる気持ちがある。こうやって天気がいい日の写真は生命力があるので利用できない土地は悲しいな。2021/06/19
吉村花緒
0
農業は同じ地域の人と協力したり、後継者に継いでいったりする側面もあるから、原発事故後に住民がたくさんいなくなってしまうと危機に瀕してしまう。誇りや生きがい、親から受け継いだ生業やふるさと、地域の人の輪、風習や文化など積み重ねた時間をあの事故は奪ってしまった。チェルノブイリ事故でのサマショール(自主的帰還者)という言葉を初めて知った。人は土から離れて生きられない。自然やふるさと、そこにいる人の暮らしはもっと尊重されなければならないと思う。いつまでもお元気でいてください。2021/08/31