出版社内容情報
太平洋戦争開戦の5年前、熊本県須恵村(現あさぎり町)覚井集落に居を構え、約1年間村を調査したアメリカ人社会人類学者が、田植えなどの協同活動「かったり」や任期制の世話人「主どうり」などボスのいない自治の仕組み、家族構造や教育、宗教、行事などむらの全貌を克明に記録。帰国後の1939年に刊行された“Suye Mura:A Japanese Village”は英語圏における戦前随一の日本農村研究となり、ルース・ベネディクトのベスト&ロングセラー『菊と刀』(46年)の重要な参考資料となった。刊行後80年を経て全容を現す幻の名著。
内容説明
アメリカの社会人類学者ジョン・F・エンブリーが日本育ちの妻エラとともに、一九三五(昭和十)年十一月からまる一年、熊本県球磨郡須恵村(現あさぎり町)に滞在し調査した記録の全訳。初版刊行と同時に、戦前では外国人による唯一の人類学的な日本農村研究書としてベストセラーとなり、互助や協同に満ちた「須恵村」の名を世界に知らしめた。
目次
第1章 歴史的背景
第2章 村の組織
第3章 家族と世帯
第4章 協同の慣行
第5章 社会階級と社会集団
第6章 個人の生活史
第7章 宗教
第8章 須恵村の社会組織における注目すべき変化
付録
新・全訳への付録 「協同」の村・須恵村―エンブリーのスナップ 1935~1936年
著者等紹介
エンブリー,ジョン・F.[エンブリー,ジョンF.] [Embree,John F.]
1908‐1950。アメリカ・コネティカット州生まれの社会人類学者。トロント大学で人類学修士号取得。シカゴ大学に進み、1935年から1年間、妻・エラとともに熊本県須恵村(現あさぎり町)を調査。帰国後博士号を取得し、39年“Suye Mura:A Japanese Village”を刊行。戦争中は対日政策の要職を歴任。50年12月22日、クリスマスの買い物中、コネティカット州ハムデンで飲酒運転の車にはねられ16歳の娘クレアとともに死去。享年42歳
田中一彦[タナカカズヒコ]
1947年福岡県瀬高町(現みやま市)生まれ。京都大学経済学部卒。西日本新聞社でパリ支局や東京支社編集長、編集局次長などを歴任。退職後の2011年から2014年まであさぎり町に単身移住し取材・調査、『忘れられた人類学者 エンブリー夫妻が見た“日本の村”』(2017年、忘羊社、地方出版文化賞・功労賞)、『日本を愛した人類学者 エンブリー夫妻の日米戦争』(2018年、同前)を上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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