著者等紹介
常見藤代[ツネミフジヨ]
写真家・ノンフィクション作家。群馬県生まれ。上智大学法学部卒業後、保険会社で働く。2003年から7年間にわたって、エジプトの砂漠で一人で遊牧するホシュマン族の女性と暮らしながら撮影。各地で写真展、講演会を開催。2010年“自然との共生”をテーマに八ヶ岳にて写真展と田舎暮らし体験ツアーを主催する。2011年「第9回開高健ノンフィクション賞」最終選考ノミネート。2012年「第19回旅の文化研究奨励賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kawai Hideki
80
ビル・ゲイツは「1日に2ドルでどうやって暮らすか?」という問いに「鶏を育てる」と回答したらしい。「農家になろう」シリーズの最後は小田原の養鶏家・笹村さんのお話。ニワトリが好きで好きで5歳のときから飼い始め、「笹鶏」というブランドを立ち上げた。発酵させた土の上で放し飼いにし、発酵したエサを与えて育てる自然養鶏。一つの血統の鶏を維持するのは試練の連続。卵は有精卵か。自力で孵るか。元気に育つか。育った後は、首を落とされるショッキングなシーンもおさめられているが、これが「命をいただく」ということなのだろう。2016/06/25
みーなんきー
12
山梨県の自然養鶏家、笹村出さん。鶏には、化学薬品等を与えず、くず米、米ぬか、そば殻、野菜くずなどを与え、自由にさせておく。ひよどりの時から、発酵した床の上で育てることにより、微生物や細菌への耐性もつける。養鶏を自然のままにすることで弱い種は淘汰されるが、それも必然と受け止める。結果、健康で、肉や卵の美味しい鶏が完成するのだ。笹村氏には、他にも夢があり、養鶏は今後若手に任せてご自身は、また新しい人生を歩み出す。一度しかない一生を、できうる限り燃えて、好きなものに熱中して過ごす笹村さんは、魅力的。2015/03/21
遠い日
4
「農家になろう」シリーズ10。自然養鶏家の笹村出さんの仕事。笹村さんの「自然のままに育てる」という信念の貫き方がかっこいい。人は自給自足の暮らしを是とするべきという考え方を自分なりに実践し、極めていく姿がなんともすばらしいのだ。笹村さんが交配を繰り返し、自分の理想のニワトリを作り出した、その「笹鶏」のなんという姿の美しさだろう‼︎命を作り出すことを引き受け、その最後まで自分の手で全うすることはニワトリへのリスペクトだ。そして、養鶏をやめ次の暮らしへと踏み出す決断も清々しい。2025/02/07
たまきら
4
ずっとニワトリが好きで…がつたわってくる。素晴らしい写真。そして土地のアイデアも素晴らしい!最近腸内細菌について調べているので、納得がいった。2015/05/12
rooneytom
1
最近、知人から卵をもらった。黄身が盛り上がってすごく立体的で、納豆ご飯にかけるだけで大ごちそう。なんでこんなに違うのか。 この本で紹介される笹村出さんの鶏は、発酵した餌を食べる。嫌気性発酵した餌は鶏の通じと食欲にはたらき、好気性発酵した餌は卵の味につながる。そもそも鶏舎の床自体が発酵してるのだ。啄みながら鶏舎を歩き回ることが運動になり、鶏糞とまざってその床土は堆肥になる。 ちなみに笹村さんの鶏の卵は有精卵。未発生の有精卵の方が無精卵よりも生命力があるんだとか。2015/06/12