著者等紹介
大西暢夫[オオニシノブオ]
1968年東京生まれ、岐阜県育ち。東京綜合写真専門学校卒業後、写真家・映画監督の本橋成一氏に師事。29歳で独立し、ダムに沈む村や精神科病棟などの撮影をしつつ、最近では東日本大震災の支援とともに取材を続けている。岐阜県揖斐郡池田町を拠点に活動。写真絵本に『おばあちゃんは木になった』(ポプラ社、第8回日本絵本賞)、『ぶたにく』(幻冬舎エデュケーション 第59回小学館児童出版文化賞、第58回産経児童出版文化賞大賞)がある。映画監督作品に『水になった村』(第16回地球環境映像祭最優秀賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kawai Hideki
76
きのこ農家の中本さん。娘さんが3歳の頃にドングリを植えたら芽が出て木になった。そこから「自分で育てた原木」にこだわるシイタケ作りが始まった。いや、一口に「そこから」と言っても、その木を初めて伐ったのは娘さんが植えてから17〜18年後。さらに、原木に菌を植えてほだ木にし、シイタケが収穫できるまで、もう2年かかるのだが。そんな、長い長い自然のサイクルの中で、淡々とクヌギを育て、切り、ほだ木を組み、シイタケを収穫し、役目を終えたほだ木を土に還す、を繰り返す。そして、山の仕事は娘さんに受け継がれていく。脈々と。2016/05/21
帽子を編みます
55
きのこ農家に密着した本です。我が家では父の気まぐれで原木シイタケを作っていた(自家用)ので懐かしい思いでいっぱいです。きのこ農家中本さんは、クヌギのドングリから苗木を作り、それを植え育てホダ木にしています。『木を植えた男』を思い出します。ホダ木に種菌を打ち、シイタケに育てあげていきます。写真が明瞭で作業の様子、シイタケの成長の様子がはっきりわかります。小学生の学習用ですが、大人が見ても参考になります。木を植え育て、シイタケを作り、ホダ木が土になり、また新しい木が育ちと山が生きていることを感じました。2021/04/17
遠い日
2
「農家になろう」シリーズ8。きのこ農家、中本清治さんの仕事。しいたけ栽培のこだわりのあれこれ。原木栽培の木をまず自分で育てることから始める。クヌギの木の成長のスパンを考えながら、時途切れることなく循環できるように植えていく。気の遠くなるような長い時間を見据えて、作業の段取りを整える。直径10センチ以上の大きなしいたけを以前よくいただくことがあって、そのしいたけだとバターソテーするだけで、まるでステーキのようにいただけたのですが、中本さんのように、こんな努力の賜物だったのだとわかりました。2025/02/07
たくさん
2
普通見ることができないものが写真でたくさんあり、順序など読みやすいつくりになっている。よいシリーズなのでつい見とれてしまう。2015/03/14
のん@絵本童話専門
0
シイタケ栽培の話ですが、それだけに留まらず、自然との共生を想うことのできる一冊でした。季節や気候に沿って試行錯誤を続けた結果、五感で木やシイタケの声を感じ取ることができています。一時として安定しない中、毎日暑い中でも寒い中でも実直に農作業を行なうこと…山とともに暮らす強い覚悟も感じ取れ、生命の希望すら感じられました。2022/11/04