内容説明
今日のF1品種につながる固定種野菜を作出し、その品質維持、流通を担った明治から昭和戦前期の「種子屋」たちの足跡を、経営帳簿・注文ハガキ・種苗カタログなど貴重な一次史料をもとに辿る。各地で伝統野菜復活の動きがあるなか注目される「固定種野菜」誕生をめぐる歴史研究の労作。在来種、固定種、F1品種など、野菜の種子に関心を持つ人、必読の一冊。
目次
1章 かつて「種子屋」と呼ばれる人々がいた
2章 買われる野菜、売られる種子―野菜と種子の変転、江戸から近代へ
3章 種子の大量生産、大量流通を担う―江戸東京の種子問屋、榎本留吉商店
4章 採種管理を請け負う「種子屋」―作場管理の代行者、野口平蔵(橘屋種苗店)
5章 村を歩き、市で売る在郷の「種子屋」―掛売り信用販売で地域密着、小売行商・種仁商店
6章 今に活きる「種子屋」の功績
著者等紹介
阿部希望[アベノゾミ]
1984年栃木県生まれ。筑波大学生物資源学類卒業後、同大学院生命環境科学研究科博士後期課程修了。博士(農学)。日本学術振興会特別研究員(PD)及び学習院大学史料館臨時職員を経て、現在、国立公文書館つくば分館非常勤職員。『伝統野菜をつくった人々―「種子(たね)屋」の近代史』のもとになっている論文で、2010年度日本農業史学会賞(奨励賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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R
7
ほぼ論文という体裁でしたが、大変面白い、よい本でした。農業を種子生産、販売というジャンルから読み解いた内容で、大変興味深くほかに見ない内容に釘付け。伝統野菜を地域の固定種という観点で見ることで、種子生産業の成り立ち、時代がくだり、問屋、卸売が発生し、特有の商習慣が形成され、置き種子販売という形態まで発展する歴史が特に興味深かった。また種子の販売が両替商のように信用商売であったというのも、日本近代の商習慣という感じでとかく面白かった。2016/01/27
takao
1
ふむ2020/11/29
Fみほ
0
著者の講演会に参加し、拝読しました。種子を固定させて流通するしくみとその変遷について、わからなかったので、その歴史を知ることができました。伝統野菜と種苗会社について、考えさせられます。2017/12/04
mamaboo
0
仕事というか、今はやっていない分野の情報収集で読みました。
Akio Kudo
0
★★ 本の値段に驚く。内容は評価が難しい。一般の素人にもわかる工夫はない。2018/05/21