内容説明
百姓から見れば、愛国心よりふるさと(在所)の田んぼや自然への情愛=愛郷心が土台にある。かつての農本主義者たちもその思想の出発点は愛郷心だった。それが国家主義に取り込まれていったのはなぜか。いまからの時代、まっとうな愛郷心で愛国心の押しつけを相対化することは可能か。そこに郷土とこの国の山河を守る道がある。
目次
序章 私たちは「国民」になった(「国民」に誕生;パトリオティズムとナショナリズム)
第1章 「食料」の誕生(「国民」と「食料」;「消極的な」農の価値)
第2章 「日本農業」と「専門家」の誕生(「日本農業」の誕生;農業の「専門家」の誕生)
第3章 資本主義から農本主義へ(「農の原理」の自覚;「農の原理」を守る農本主義)
第4章 百姓は自然とともに近代を撃つ(松田喜一の農本主義;「天地自然」を思想的な武器にする)
第5章 農本主義者はどう生きたのか(橘孝三郎の生き方;権藤成卿の思想)
第6章 農本主義の可能性(「農本主義」は死んではいない;「新しい農本主義」の出立)
終章 情愛のふるさと(生きものとの交感;なぜ私たちは花に惹かれるのか ほか)
著者等紹介
宇根豊[ウネユタカ]
1950年長崎県島原市生まれ。福岡県農業改良普及員時代の1978年より減農薬稲作運動を提唱。虫見板を普及させ、害虫でも益虫でもない「ただの虫」という概念によって、農学と農業技術の世界を天地自然にまで広げていく道を拓いた。1989年に新規参入で就農。2000年福岡県を退職して、NPO法人農と自然の研究所を設立し、代表理事に就任。この研究所は2006年第七回明日の環境賞、2009年生物多様性アワード受賞。2010年4月に10年の使命を終えて解散。農学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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