内容説明
徹底して農家、県民に寄り添ったローカルジャーナリズムによる闘いの記録29万7808頭への鎮魂、再発防止への誓い。
目次
第1章 発生(四月二十日、悪夢の始まり;「ピンチをチャンスに」 ほか)
第2章 感染爆発(国内初、豚での感染;火の粉、県境へ ほか)
第3章 全頭殺処分(重い腰をあげた政府;ワクチンを打ちに来た男 ほか)
第4章 終息(衝撃、畜産基地での発生;飛び火、相次ぐ ほか)
第5章 復興と新生(響き始めた牛の鳴き声;示された復興方針 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Uzundk
2
宮崎に拠点を置く新聞社から見た口蹄疫の記録。読んでて辛い思いがした。結局、口蹄疫がどこから始まったのかは分かっていない。病気の発生は思わぬところから始まる災害だが、それが29万頭もの犠牲を出すことになったのは人災によるものだと、本からは読み取れた。農家の主張、県の思惑、国の無関心、それぞれが本当に防ぐべき事態とそのために出来る事を見落としていた。初動での危機管理も最悪の事態の想定の甘さが悔やまれる。自分はこのような災害に対してどれだけ対応できるだろうか。2014/08/09
ひらひら
2
巻頭のカラー写真が大変印象強い。東日本大震災で風化しがちな状況であるが忘れてはならない。二度と口蹄疫がでないようしなければならない。しかし次発生したらどう対応するのがベストなのか考えさせられた。いま時点でもベストな解が見つからない。畜産関係者として口蹄疫等伝染病の意識を時が経っても強く持つ必要がある。2012/05/27
縞猫
0
友人知人が豚にまみれ、牛にまみれ、血と汗と涙を流していた時、机の前に座り口だけ動かしていた人達が、このようにしていたのか、と。2016/02/07
sunbather
0
地元に寄り添うローカルメディアとしての立場からまとめられている記録。他のレビュアーの方々同様に高く評価したい。農相の山田氏や東国原知事に対しては批判的な記述が多い一方で彼らの動きを評価した記述もあり、捉え方の一貫性のなさに口蹄疫の対応の複雑さや、個人ではなんともしがたいスケールのでかさが感じ取れた。2015/12/19
きむちゃむ
0
友達が酪農家で、遊びに行くついでに手伝おうと思って酪農勉強中。感染拡大を防ぐために隔離じゃなくて処分って家畜だからいいって訳じゃない。仕方ないで片付けられてしまってはおかしい。無駄な殺処分をせずに済む方法が生み出されるのを願うばかりだ。2012/10/20