内容説明
有機JAS制度など、商品基準で技術をしばり、有機農業を特殊化しようとする流れに抗し、土の力に依拠し地域自然と共生する「農業本来のあり方の回復」としての有機農業技術論を提起する。
目次
第1部 自然共生型農業としての有機農業の技術論(自然共生をめざす有機農業の技術論;「低投入・内部循環・自然共生」の有機農業技術論確立へのプロセス;実践農家にみる有機農業技術の到達点―「低投入・内部循環・自然共生」の有機農業の個性的なあり方)
第2部 有機農業とはどんな農業なのか(有機農業は普通の農業だ―農業論としての有機農業;農業技術と農法の一般理論;有機農業における土壌の本源的意味;近代農業と有機農業―技術論の総括として)
著者等紹介
中島紀一[ナカジマキイチ]
1947年埼玉県生まれ。東京教育大学農学部卒。東京教育大学農学部助手、筑波大学農林学系助手、鯉淵学園教授を経て、2001年から茨城大学農学部教授、2012年から茨城大学名誉教授。専門は総合農学、農業技術論。茨城大学では付属農場長、農学部長などを務めた。また、日本有機農業学会の設立に参画し、2004年から2009年まで会長を務めた。民間運動の面では有機農業推進法制定に先立って「農を変えたい!全国運動」を提唱し、その代表を務め、現在はNPO法人有機農業技術会議の事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
5
耕作放棄地は、最近読んだGTの青木辰司先生の本には耕作断念地とあったが、本著では不耕起草生栽培に取り組んでいる茨城県の浅野氏の事例が紹介されている(96頁)。技術的なことはよくわからないが、耕作断念した土地をどう維持するかは今後の多くの中山間の課題となるのは確かで、TPPで増えると思われる。こうした土地は、雑草地で、野草地となるようだ(216頁)。藪地へと鶯の棲家となるようだ。必ずしも悪でもなさそうだ。農地耕作は人間の都合だったので。肝心なのは、自然地と農地(人工)の共存の道ではないかと思えてきた次第だ。2013/03/16