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内容説明
房次が歩いていると、子どもたちが「院長さんだ!」と喜んであいさつする。町民の誰からも慕われた町医者・高橋房次。大正から昭和にかけて、北海道・白老の地でアイヌも和人も差別せず貧しい人からは治療代もとらなかった。やさしく、頑固な生き方がいま、よみがえる―。
目次
はじめに―その名を高橋房次という
1 白老アイヌコタンへ
2 母の愛を胸に医師を志す―房次の生い立ち
3 愛する家族とともに
4 白老の若者たちとともに
5 ホロケナシの拓殖医―困った人たちに手を差し伸べる
6 白老の病院で
7 普段着の院長さん―現代版「赤ひげ」
8 房次流「医の心」
9 ありがとう院長さん
著者等紹介
川嶋康男[カワシマヤスオ]
ノンフィクション作家。北海道生まれ。札幌在住。『大きな手 大きな愛』(農文協)で第56回産経児童出版文化賞JR賞(準大賞)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
24
こんなに立派な人が居たのなら、もっともっと世に広めたらよいのに。そう感じました。医者と言う立場・・・病を治すのはもとより周りの人の健康を管理する大切な役目。アイヌ人と和人・・・そんなへんな括りがある中で民族が違っても人は人・・・あの時代には今では普通の考えが普通ではない時代。その中でガムシャラに働いていた高橋房次さん。今の医療現場では忘れ去られている事を一生懸命やっていたような気がする。高橋先生の葬儀ではお焼香に1時間以上も並ぶほどたくさんの人に見送られて、さぞやテレ気味で空に昇っていったことでしょう。2011/02/25
icoicorin
1
感想画高学年向。感想画云々は脇において、良書だと思う。アイヌの人々の健康を守る為に、身を粉にして働いた現代の赤ひげ(でも昭和)の物語。医学者ではなく仁術としての町医者として、本道を全うした人じゃないかな。 今の暗い時代に求められている資質としては、この潔さや品位ではないかな、と思う。2011/07/26
杏子
1
西日本読書感想画指定図書高学年向け。こんなことがなければ、読むことはなかっただろう。北海道・白老の地で、アイヌも和人(この名称も初めて聞いた!)も差別せず、貧しい人には診療代もとらず、白老の人々の健康管理と診療に生きた一人の医師の物語。写真で見ると、穏やかなおじいちゃんという感じだが、やさしいけれど、一本筋の通った生き方をされた人で、紹介されたエピソードのどれもがその人柄と風貌を生き生きと映し出していた。いのちのしずく、というタイトルがまたいい。信念ある人の生き方は読んでいて、こちらまで心が真っ直ぐになる2011/07/22
エル
0
アイヌの人でも差別せず、また貧しい患者から診察代を取らなかったという医師・高橋房次のお話。こういう人がいたんだなという驚きと共に、結構家族は苦労したんじゃないかな…と思ってしまう。児童書だがだいぶ読みにくかった。2025/04/19
林芳
0
偉人として、伝記本に取り上げられている人たちよりずっと偉人だと思える人を時々知るけれど、そのような人。毎日変わらない生活を苦労しながら送る人たちに寄り添った人。だから、本人も昨日と同じ今日を、今日と同じ明日を送っていったので、伝記にはなりにくいんでしょうけど、個々の人の心の中に深い記憶を残した人。2022/09/05