出版社内容情報
兵庫県小野市木住町の圃場整備工事中に、絶滅危惧種のヒメタイコウチなどが発見され、苦悩の末に「多自然型工法」の採用を決定。その調査・提言をしてきた著者が、救出作戦からタナゴが戻ってくるまでを感動的に描く
内容説明
「ビオトープ」という言葉を知っていますか。「野生の生き物が暮らしている場所」という意味のドイツ語です。昔は里山、小川、ため池、田んぼなど、身近な自然にいろいろな生き物が暮らしていました。私たちの身のまわりのほとんどの場所が「ビオトープ」だったのです。でも、今ではそこで暮らしていけなくなって、絶滅が心配されている生き物が多くなってしまいました。なぜでしょうか。このものがたりは、一九九七年、兵庫県きすみ野地区の田んぼや水路を、稲作りが楽に効率的にできるだけでなく、多くの生き物が暮らしやすい「ビオトープ」にしようと立ち上がった人たちの、実際にあったドラマです。
目次
第1章 その工事待った!トンガリササノハガイを救え!(トンガリササノハガイとヒメタイコウチが見つかる;横川さんの苦脳 ほか)
第2章 農家の営みが豊かな自然を育んできた(自然をたくみに利用していた農村の暮らし;昔はメダカもホタルもたくさんいた『きすみ野』 ほか)
第3章 生き物が生息できる『生態系に配慮した工法』(どのようにして生き物は減っていったのか;どうしたらトンガリササノハガイやヒメタイコウチは生き残れるか ほか)
第4章 地域の自然や農業に目を向け始めた子供たち(きすみ野の誇れる宝となったビオトープ水路;『田んぼの学校』始まる ほか)
著者等紹介
市川憲平[イチカワノリタカ]
1950年生まれ。東京水産大学増殖学科卒業。1991年、タガメの繁殖戦略に関する研究で京都大学理学博士。現在、姫路市立水族館主任水生生物専門員。島根大学生物資源科学部非常勤講師。水族館での業務のかたわら、ビオトープづくりなど自然環境を保全するための活動や環境教育活動に尽力している
市川涼子[イチカワリョウコ]
グループ版画サロン所属。市川憲平とともに、環境保全活動や環境教育活動に尽力している
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